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日本消防協会が全国の会長に通知した文書(左)には、「(寄付は)強制的なものではありません」の文言がある。県協会が各消防団長・消防長に出した文書(右)にはなく、役職ごとの金額や納入期限が記されている

 消防団の報酬から勝手に寄付金を天引きされた―。日本消防協会(東京)が都内に建設を予定している新会館を巡り、村山地方の消防団に所属する男性から「寄り添うぶんちゃん取材班」に告発メールが届いた。日本協会が各都道府県協会に出した文書には「協力は自発的な意思に基づくもの」と明記されているものの、一部で寄付が強制されている実態が浮かび上がる。

 日本消防協会は2018年6月に新たな日本消防会館の建設を決定し、全国の消防関係者からの協力(寄付)を募ることにした。6月21日付の会長名の文書で、各都道府県の消防協会長に対し、寄付の受け付け開始を通知。その中で「協力は自発的なご意思に基づくもの」「強制的割り当てではない」と繰り返し示していた。ただ文面には「(目安として)1人1千円ないし2千円を、できれば3年間ご協力いただくようなことはどうか」との“提案”も盛り込まれていた。

 県消防協会は昨年11月15日付で、各消防団長・消防長に宛てた文書「新日本消防会館建設に関するご協力(寄付金)について」を発出した。寄付額を「団長・副団長は5千円、分団長・副分団長は3千円、部長以下は500円をそれぞれ3回、消防職員は金額・回数指定無し」とし、納入期限も19~21年の3月31日と定めていた。「強制ではない」との記載はなかった。

断ったのに

 取材班に対して情報を寄せた村山地方の男性には消防団から協力を求めるメールが届いたが、断った。ところが部に預けている認め印を使って委任状を作られ、報酬から1回目の寄付金が天引きされたという。

 男性は「今回のような金銭の集め方は寄付ではなく徴収。許されない」と憤る。周囲の団員は少額ということもあって諦めている人が多く「『しょうがない』という雰囲気、従うしかないという空気が、消防団の他のさまざまな問題に共通している」と指摘。別の村山地方の団員も「断ったが無理やり金を集められた」と証言する。

 県内他地区の団員からは「寄付そのものを知らない」との声も聞かれる。本来は団員個人に支給されるべき報酬を分団や班などが管理しているためとみられる。報酬が班に支給されている新庄市の団員は「話が班長で止まっている可能性がある。協力金は出した方がいいと思うが、団員に意向を聞いたり、説明したりすべきでは」と訴える。

知らない間に

 同じく報酬は班で管理しているという鶴岡市の団員は「何に使われているのか分からない。寄付の説明があり、それに対して意見を言っても何も変わらないと思う」と諦め顔だ。置賜地方の団員は「分団や部で管理している報酬から寄付金が捻出されているのかもしれないが、分からない」と困惑し、「全く知らない間に東京の会館の費用に充てられているとしたら良い気がしない」と話す。

団内の伝達不足―県協会、寄付は「非強制」―日本協会

 消防協会側は、こうした指摘をどう受け止めているのか。県協会によると、今年3月末の1回目の締め切り分として県内全ての消防団から善意が寄せられたという。文書で示した目安の金額は理事会で決定したもので、日本協会の文書も添え、寄付は強制ではない旨を各消防団に周知したとする。

 一部で強制的に徴収されている実態について、伊藤力会長(寒河江市消防団長)は「説明しなかったり、勝手に天引きしたりするやり方は良くない。分団長や部長から団員にきちんと伝わっていないことが原因だ」と、各消防団内の問題との認識を示した。「断られたとしても個人の判断であり、仕方がないことだ」とも語った。

 日本協会の担当者は取材に対し、他県の消防団からも同様の不満の声があると認めた上で「協会としては『寄付は強制ではない』というスタンスを引き続き伝えていくしかない」と答えた。


(2020年11月24日掲載)

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