NIBフロントライン

スガタ商事社長
菅野清文氏
菅野清文氏
【インタビュー】
 -自社と業界の現状は。

 「当社は塗装の総合商社としてあらゆる商品を取り扱っている。建物から自動車、時計のバンド、コーティングされた木工品など、身の回りに塗装されているものは多い。私たちは塗料だけでなく、作業時に組む足場資材、製造ラインの塗装ロボットまで、施工に必要な全てをまかなう。顧客は地元の大工から自動車メーカーまで幅広い。現場を見て何が必要かを検討し、予算を含め施主の要望に応え、国内外の塗装品メーカーの商品を相性も考え組み合わせ、良品率を高める提案をする。求められた商品を提供するだけの仕事は淘汰(とうた)される。こうした私たちの仕事は支持されており、業績は好調だ」
 「塗料は機能性が高まっている。ガラスに塗る遮熱塗料はニーズが高く、蛍光灯の傘塗装で反射率を上げれば省エネにつながる。光を当ててウイルスを不活化させる塗料もある。技術開発や新商品のサイクルは速いため、施主に情報を届けることも私たちの大きな役目。説明が最終製品の仕上がりに大きく関わり、塗装品メーカーからも期待されている。求められてタイにオフィスを構え、ベトナムには現地法人を作った。海外の仕事を通して『山形の会社』ではなく『日本の会社』と認識してもらい、今では国内各地から取引要望がある」

 -どんな人材を求めるか。

 「仕事内容は多岐にわたっており人材教育は実践しかない。知識が十分でなくても、顧客と一緒に仕事をして宿題を与えられ、育ててもらっている。若手には『塗料より自分を売ってこい』と言う。人は人でしか磨かれない。大事なのは人間力。特に、素直で積極的であってほしい。感謝を忘れず人と付き合い、努力して経験を積まないと仕事はできない。また今後は経営者的な視野を持った人材を育てるため、地域の団体や会合に社員を出していきたい」

 -仕事をする上で影響を受けた人物は。

 「大学卒業後に入った塗料メーカーの上司で、今も木材塗装の技術で業界をリードしている長沢良一さん(埼玉県)だ。人間力が高く、気遣いの大切さを学んだ。叱る際は相手にきちんと理由が分かるようにし、上手に人の心を動かした。難しい仕事では粘り強さの重要性を教えられた。自分もこうすべきと思い、実践を心掛けている」

 ★菅野清文氏(かんの・きよふみ) 寒河江高、神奈川大工学部卒。塗料メーカー2社に3年間勤務し1994年、スガタ商事入社。山形営業所長、専務を経て2014年に社長就任。ベトナムの現地法人社長を兼務している。55歳。

 ★スガタ商事 菅野社長の父で現会長の菅野耕吉氏が1971年、塗料卸売業として創業。寒河江市に本社と調色センターなどを配置。県内に山形営業所(山形市)、庄内営業所(酒田市)。県外は宮城、福島、埼玉の3県に拠点があり、名古屋と大阪に駐在員がいる。海外はタイ・バンコクに事務所、ベトナムには2019年に現地法人を設立した。社員数はベトナム法人を含め34人。資本金2010万円。本社所在地は寒河江市新山1丁目45の2。

【私と新聞】意思疎通の有効ツール
 自宅で朝に山形新聞、会社で経済紙を読むという菅野社長。紙面をめくって見出しに目を走らせ、顧客との話題にできるニュースを探す。コミュニケーションを取るための有効なツールとして活用している。
 特に山形新聞については「山形での大事な情報源」と評価。社員は業務で多くの自動車を運転することから安全には気を配り、交通事故関連のニュースが気になるという。「安全確保のため情報を得ている」と話す表情は真剣だ。
 地方紙に期待することとして「なかなか目に見えない人々の頑張りを取り上げてほしい」と話す。以前、下校時にゴミを拾って帰る子どもたちがいると知ったことを挙げ「小さくても大事なこと。こうして自発的に、社会のために頑張っている人たちがいる。山形新聞だからこそ目を向けられるはず」と語った。

【週刊経済ワード】自動車の減産
 東南アジアの新型コロナウイルス流行に伴う部品調達難や、世界的な半導体不足を要因とする自動車メーカーの大規模な減産。コロナに関してはマレーシアやベトナムなどで都市封鎖といった厳しい感染対策が実施されたことで、現地の取引先工場の稼働に支障が出た。ただ、足元では東南アジアの感染対策が緩和傾向にあり、トヨタ自動車は11月に過去最高水準の世界生産台数を見込むなど、正常化の兆しが見えている。
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