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桜井建設社長
桜井靖氏
桜井靖氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状は。

 「当社は木造住宅をメインに新築、リフォームを手掛け、木材の地産地消を目的に県産材を多く利用している。住宅業界は新型コロナウイルス下でも、消費税増税に対する政策によりある程度の仕事量は確保できたが、今年に入りウッドショック(木材の供給不足と価格高騰)の影響を受け木材の供給が止まった。当社は短納期という常識を変え、早めの注文で予定通りに納品してもらえた。このような時だからこそ共助が欠かせない。ウッドショックも林業再生のきっかけにしたい」

 -SDGs(持続可能な開発目標)を重視した経営に力を入れている。

 「まだSDGsが社会に認知されていない2018年にフィンランドに行った際、国を挙げ持続可能な環境を守っている現状を肌で感じた。その後、日本で新渡戸文化学園(東京)の山藤旅聞先生の講演を聴き、今の大人は子どもへの責任を果たしているか考えた。特に当社は住宅を造る仕事をしている。物を作る人間が本気で取り組まなければ子どもにも失礼。今の幸せな生活を子、孫の世代まで責任を持って受け継がなければと思い、取り組み始めた」

 -求めている人材は。

 「これからは競合ではなく協業、共生のスタンスが必要になる。だから協調性のある人材を求めたい。素直さを持った人も必要だ。そうした人になるには自分にうそをつかないこと。自分で決めたことはやりきる。そうすれば自分を信じる力が育ち、人のことも信じられる人間になれる」

 -必要なスキルは。

 「仕事で大切なのは目的、目標、戦略、戦術の順。最も大切なのは、何のためにこの仕事を選んだのか、という目的だ。目標は目的を実現するために数値化すること。目標が定まれば戦略ができ、そこで初めて戦術、すなわちスキルが生きる。当社は全社員に勉強の機会を提供しており、その学びから目的が明確になる。そして素直で協調性を持った人ならそれを伸ばせる。だから必要なスキルは素直であるということだ」

 -仕事で影響を受けた人物は。

 「岩手県二戸市にあるカネキ・パンダホームの浪岡清高社長。とことんお客さまや社員を大切にする姿勢で『ご縁に感謝』という人生テーマを持っており、とにかく温かい方だ。当社はLIXIL(リクシル)(東京)のスーパーウォール(SW)工法を採用しており、同じ仲間の全国約530社と組織する『SWビルダーズファミリー』での気付きや学びを大切にしている」

 ★桜井靖氏(さくらい・やすし) 山形工業高、日本工業大工学部卒。1995年に桜井建設に入り、常務、専務を経て、2013年から社長。山形市出身。49歳。

 ★桜井建設 1963(昭和38)年に創業、74年に株式会社化。「四つの健康(家族の健康、建物の健康、地球の健康、家計の健康)に貢献できる住まいづくり」を掲げ、環境に優しいZEH(ゼロエネルギーハウス)の建築に力を入れる。企業テーマを「ずっと健康でわくわくする未来への架け橋になること」とし、子どもの未来に貢献する高性能住宅のみ建設している。蔵王にある施設「さくらい森の家」を地域に開放。施設内のカフェ「八宝堂」は多くの家族連れが利用する。社員数16人。資本金2100万円。本社所在地は山形市成沢西3の21の8。

【私と新聞】生きた情報が豊富
 「新聞は最も信頼できる情報源」と語る桜井靖社長。毎朝、朝食前に一読し、その日のキーワードを探すのが日課だ。
 山形新聞については「地域の生きた情報が豊富。特に県内企業のわくわくする取り組みの記事を読むと、一市民として、こちらもわくわくする」と話す。自社が力を入れるSDGsに関する記事、お悔やみ欄にも必ず目を通すという。「山形新聞の1学級1新聞事業はまさにSDGsに向けた取り組みだ」と語る。
 自身もバスケットボールをプレーし、社員にはサッカー好きが多い。そのため「(サッカーJ2の)モンテディオ山形や、(バスケ男子・Bリーグ2部東地区の)パスラボ山形ワイヴァンズの結果も欠かさずチェックする」と笑顔を見せた。

【週刊経済ワード】G20財務相・中央銀行総裁会議
 日米欧の先進国と新興国で構成する20カ国・地域(G20)の財務相と中銀総裁が参加する国際会議。アジア通貨危機後の1999年に初会合が開かれ、リーマン・ショックが起きた2008年に始まった首脳会議(G20サミット)の母体となった。財政・金融政策に加え、多国籍企業の税逃れ防止や途上国支援などを幅広く協議。共同声明はローマで今月30、31日に開くG20サミットの議論に反映される。
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