NIBフロントライン

ハイメカ社長
横山千広氏
横山千広氏
【インタビュー】
 -新型コロナウイルス禍を受け、自社の現状は。

 「コンデンサーや半導体、リチウムイオン電池などの製造装置を手掛ける。コロナ禍で一時、受注は低迷したが、今は半導体の品不足で非常に忙しい状況だ。現時点ではコロナ前と比較しても、売り上げの上積みを見込んでいる。一方で、半導体需要はいずれ落ち着くだろう。生産設備メーカーは社会情勢の影響を大きく受ける。先が見通せず、同じものが売れ続ける時代でもない」

 -現状を踏まえ、何に力を入れているか。

 「まずは顧客に頼られる存在であることが大事。その上で、京セラ創業者・稲盛和夫さんが考案した経営手法をわれわれなりに取り入れ、体質改善に取り組んできた。成果も出てきている。社員の時間に対する意識が変わり、不要なコストをかけずに新しい装置を開発できるようになった。また、顧客の多くは電子部品業界だが、農業関連の装置開発に携わるなど、新しい分野の開拓も始めている」

 -求める人材は。

 「先が見通せない時代に必要なのは変化に柔軟に対応できること。また1人でできる仕事はほとんどなく、顧客の要望に応え、知恵がわく状態でなければいけない。これらを踏まえ▽現実を素直に見つめ、素直に考えることができる人▽コミュニケーション能力が高い人▽自分が何に対してエネルギーを費やせるかが分かっている人-が欲しい」

 -社員にはどのような努力を求めているか。会社としてのサポート態勢は。

 「目的を常に確認し、それに向けて段階ごとに目標を設定する思考を身に付けられるよう、社内フォーマットをつくり訓練している。何が大切なのか考えられる習慣が身に付けば、必要な技術を身に付けるスピードも速くなるのではないか。また、在職しながら山形大工学部の社会人コースで学ぶ人向けの奨学金制度や、技能士試験合格者への一時金支給などの制度を用意している」

 -影響を受けた人は。

 「1人挙げるとしたら、中学の担任だった石山薫先生。よく『力強く美しい人になろう』と言われ、『美しい』という言葉が心に残っていた。装置の設計をするようになり、装置としての目的を果たし、かつ、全く無駄がないシンプルなものを目指さなければと思うようになった。つまりそれは美しいもの。その感覚を意識付けしてもらったと思っている」

 ★横山千広氏(よこやま・ちひろ) 米沢工業高卒業後、ハイメカに入社し、働きながら山形大工業短期大学部機械工学科で学ぶ。卒業後、日立米沢電子を経て1985(昭和60)年、再びハイメカへ。技術部長、常務、専務を経て2016年から現職。飯豊町出身。59歳。

 ★ハイメカ 1972年米沢市内に設立。81年、現在地に移転した。2011年、中国に青島ハイメカ機械有限公司を設立。17年には経済産業省の地域未来牽引企業に選ばれた。社員約140人、資本金1億円。本社所在地は米沢市窪田町窪田2534の6。

【私と新聞】コロナ関連、しっかり読む
 横山千広社長は山形新聞と経済紙に加え、業界紙2紙を併読している。毎日、各紙を広げて一通り見出しに目を通し、気になる記事を読み込むようにしているという。
 「山形新聞は県内の動き、状況を知るのに役立っている」と横山社長。地域ニュースや本紙独自の視点で取材した記事、お悔やみ欄などをチェックする。「特に今は新型コロナウイルス関連の県内記事をしっかり読んでいる」。専門紙では技術の動向など、自社の仕事と関わる分野の情報収集をしている。
 各紙は社内の各部署に回し、社員にも目を通させている。

【週刊経済ワード】洋上風力発電
 海に設置した巨大な風車で発電し、電気は海底ケーブルを使って陸上に送る。陸上よりも安定した風が吹くため、効率的な発電ができる。英国、ドイツなど欧州各国で導入が加速しており、世界の洋上風力の発電能力で約7割を占める。風車の土台を海底に固定する「着床式」が世界の主流。日本は遠浅の海が少なく、海に浮かべる「浮体式」の普及が期待されている。発電所建設では設備投資や保守点検などで関連事業の規模が計数千億円に上る場合もあり、波及効果が見込まれる。
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