NIBフロントライン

デンソー山形社長
清水幸広氏
清水幸広氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、自社の取り組みは。

 「自動車に不可欠な部品を手掛けており、新型コロナウイルス禍でも安定供給が求められている。二つの大きな柱のうち、一つは従来のブザーやフラッシャーなど、安全安心に関わる製品だ。例えば、走行時も音が静かなハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の普及により、車の接近を音で知らせる接近通報のスピーカーは、デンソーグループで唯一、当社が生産している。もう一つは快適性を高める製品だ。2019年の新工場完成に伴って、新たに車載エアコンを制御する電子製品(ECU)の生産を始めた。東日本でのECU組み立ては当社が初めてとなる。従業員数が2倍以上に増えるなど大きく変貌を遂げた」

 「その中で当社は品質第一の徹底を掲げており、顧客に信頼されることが重要だと従業員に話している。決められた作業を決められた通りにやっているか。作業者が正しく理解し、それが実情に合う手法なのか。各工程で検証を重ねている。社員一丸で取り組むため、管理者や監督者の教育には特に力を入れている」

 -会社が求める人材は。

 「従業員の大幅増員やデジタルトランスフォーメーション(DX)、働き方改革など会社を取り巻く環境が大きく変化し、スピード感を持って対応しなくてはならない。求める人材は自ら考え率先して行動できる人、変化を恐れず挑戦を続けられる人だ。社員に活躍してもらうため、約100人を親会社のデンソーエレクトロニクス(愛知県)などに半年から2年ほど出向させて、知識や経験を積んでもらっている。新入社員には技能者育成機関のデンソー学園(愛知県)で1年間学んでもらう道筋をつけた。地元の工業高を今春卒業した新入社員が頑張っており、将来は中心となって働いてもらいたい」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「製品の設計担当だった30代の頃、上司だった技術部長だ。コストなどの兼ね合いから、ある部品を付けるか、付けないかで迷っていた時に、『迷ったら迷うな』と言われた。品質で判断すれば迷う必要はないという哲学を教わった。今でも仕事を進める時の指針になっている」

 ★清水幸広氏(しみず・ゆきひろ) 岐阜大卒。1983(昭和58)年、デンソーに入社し、電子コントローラーやブザーの製品設計担当を務める。90年にデンソーエレクトロニクスに出向し、第一品質保証部の部長、取締役を経て2019年6月から現職。愛知県出身。60歳。

 ★デンソー山形 自動車に搭載される警報装置(ブザー)や方向指示器(フラッシャー)、エアコンECUなどの部品製造を手掛ける。1974(昭和49)年にマルコンデンソーとして設立。2018年にデンソーグループの100%連結子会社となり、現社名に変更。19年に新工場が完成した。資本金3750万円、従業員数444人。本社は飯豊町萩生3893の1。

【私と新聞】足元の情報こそ大切
 約50年にわたり飯豊町に根差して事業展開する同社は、地域貢献活動にも力を入れている。そのため清水社長は、身近な出来事を把握する情報源として「山形新聞はとても役に立つ」と語る。「愛知県出身で、その地元紙は山形新聞ほど詳しく地域の情報を取り上げていなかった印象がある。地域の人たちが何をしているのか、置賜地域ばかりでなく、村山や庄内など各地域の動きがよくまとまっている」と評価する。記事で知ったイベントなどに出掛けることも多いという。
 経済紙と山形新聞を購読している。グローバルな動向や業界の情報などは不可欠としながらも、地域の人たちや社員とのコミュニケーションには「足元の情報こそ大切」と語る。山形新聞ではNIBフロントラインを毎週読んでいるという。「県内の経営者の考え方などが興味深い」と話した。

【週刊経済ワード】発電コストの検証
 再生可能エネルギーや原子力、火力の発電設備を更地に新設し運転した際の1キロワット時当たりのコストの試算を示す。電力料金への影響や、将来の電源構成を検討する際の参考にする。試算には建設費や運転維持費のほか、二酸化炭素(CO2)の排出抑制や原発の安全対策にかかる費用が含まれる。燃料費の見通しや、普及に伴って低下する発電設備の量産効果も反映している。
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