NIBフロントライン

トガシ技研社長
長谷川靖和氏
長谷川靖和氏
【インタビュー】
 -自社の現状は。

 「自動車の部品や本体、住宅関係製品などの生産ラインの設計、製作を行っている。半導体、食品関係も含め、さまざまな産業分野の『機械化したい』『ロボットを取り入れて労力を削減したい』といったニーズに応え、現実化する。中でも自動車に関する受注が多く、車は定期的にモデルチェンジやマイナーチェンジが行われるので、それに必要な生産ラインに対する設備投資がその都度生じる。このため、景気にあまり左右されない業種と言える」

 -求める人材は。

 「ソフトや電気制御の設計を担える技術系の人材を求めている。ただ、そのような人ばかりが入社しているわけではない。さまざまな業種、業界と取引しているので、コミュニケーション能力の高さが必要になる。年上、年下の誰とでも会話できる人が、仕事では一番に望まれる。分からないことがあれば分かる人に聞くというように、コミュニケーションができる人は成長も早い。従業員は地元出身者が多く、ロボットなどの最先端技術に関わる仕事であることが若者を引き付けていると思う」

 -どのように人材育成に取り組んでいるのか。

 「講師を招き、生産方式に関する全従業員対象の勉強会を定期的に開いている。業務に関する優れた提案を表彰しているほか、(品質や工程管理などの改善に取り組む)QCサークル活動については社内だけでなく、外部の発表会にも参加している。各種資格の取得も奨励している」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「創業者である冨樫勉会長(66)。『行ける』と判断したら、新たな仕事の分野を開拓してきた。そのコミュニケーション能力と行動力の高さを、営業活動の手本としている。一つの取引分野だけにとらわれると、リーマン・ショックや新型コロナウイルスなどの影響を受けやすい経営になるが、さまざまな業界とつながり仕事をすることで会社の対応力が付いてくる。新たな経験をすれば知識が増え、新たな達成感が得られることは楽しい。仕事は楽しくなければいけないと思っている」

 ★長谷川靖和氏(はせがわ・やすかず) 旧温海高を卒業後、鶴岡市の自動車関連会社などを経て2001年にトガシ技研入社。専務、副社長などを務め09年に社長就任。鶴岡市(旧温海町)出身。54歳。

 ★トガシ技研 現会長の冨樫勉氏が1988(昭和63)年に創業。溶接治具、圧入機、自動組み立て機などの設計・製作を担い、新型コロナウイルス拡大対策として不織布マスク、足踏み式消毒スタンドも製造。資本金1千万円、従業員数約90人。本社工場所在地は鶴岡市丸岡町の内309の1。ほかに同市の藤浪、桂荒俣、常盤木と茨城県古河市に工場、横浜市と中国・北京に事業所がある。

【私と新聞】本業関係の情報入手
 仕事前に新聞を読むのが日課という長谷川社長。大手メーカーの動向や新商品の開発など、主に本業に関するニュースを幅広く入手することに役立てており「内容の正確さについては高く信頼している」と話す。
 全ての面に目を通してから、興味を持った記事をじっくりと読むのがスタイル。「知らないのは失礼になる」という理由で、おくやみ欄を丁寧に読み、広告もチェックする。紙面を眺めることで、全く興味を持っていなかった分野の情報が半ば強制的に伝えられ、思わぬ発見につながることが楽しいとも感じている。
 「各家庭に新聞が届き、同じ情報を共有できるのは意義が大きい」と指摘し、そのネットワークを活用した買い物代行サービスを提案する。「スーパーなどと連携すれば、双方のメリットになるのではないか」と語った。

【週刊経済ワード】ニュースサイト
 インターネット上でニュースを掲載するウェブサイト。新聞社やテレビ局などの報道機関が運営して自社のニュースを掲載する形と、ヤフーなどのIT企業が検索エンジンを柱とするポータルサイトに報道機関などから提供を受けた記事を掲載する形がある。無料のニュースサイトは広告収入が収益源となっており、アクセス回数が重視される傾向にある。
[PR]