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ヌマザワ社長
沼澤紘一氏
沼澤紘一氏
【インタビュー】
 -葬祭業界の現状を教えてほしい。

 「新型コロナウイルスの感染拡大によって大規模な葬儀は激減した。家族葬が主流になり、その家族葬も小規模化している。会葬者が大きく減り料理や返礼品、お供えの生花などの売り上げが見込めない状況だ。しかし、本当に恐れているのは葬儀の簡素化によって葬送儀礼文化が失われてしまうこと。葬儀とは故人を弔うだけでなく、『感謝』の気持ちを伝える場。送り、送られる方、双方の心のよりどころといえる、この文化を存続させなければならないと思っている」

 -苦境を乗り切るための取り組みは。

 「現在の売り上げ規模でも持続可能な経営を行うための財務戦略を進めている。新型コロナが落ち着いても、環境が元の状態に戻るとは限らない。環境に適応した経営にかじを切ることが必要だ。人材面では10年ほど前から、少ない人数で最大のサービスを提供する仕組みづくりを進めている。社員一人一人がさまざまな部門の仕事をするマルチタスク教育がその一つ。例えば事務員がホールでの接遇や葬儀の司会をやり、葬祭ディレクターは霊きゅう車や送迎バスの運転もする。葬祭業の特質上、暇なときもあれば忙しいときもある。そうしたことに対応するために取り組んできたものが、機能し始めている」

 -社員にはどのような能力を求めているか。

 「特別な能力はいらないと思っている。必要なのは素直さ。素直な心をもって人の意見をよく聞き、自分自身を見つめることが大切。マルチタスク教育を進める上では、この点が重要になる。大変なときでも会社のことを自分事として考えてくれている社員が多く、大変ありがたい」

 -仕事上で最も影響を受けた人物、教えは。

 「地元の青年会議所や商工会議所などを通じていろいろな方と出会い、皆さんから良い刺激を受けている。影響を受けた人物をあえて挙げると、大学卒業後に就職した葬祭業などの清月記(仙台市)の菅原裕典社長だ。『絶対にNOと言わない経営』に感銘を受けた。頼ってきてくださるお客さまの要望に応えなければという使命感が表れている。今もこの精神を生かして仕事をしている」

 ★沼澤紘一氏(ぬまざわ・こういち) 新庄北高から玉川大経営学部に進み、卒業後に葬祭業の清月記(仙台市)に入社。葬祭ディレクターとして現場経験を積んだ。2008年ヌマザワに入り、常務を経て20年に代表取締役に就任。新庄市出身。37歳。

 ★ヌマザワ 1895(明治28)年に青物問屋「沼澤商店」として創業。仏壇仏具店、花店を経て昭和に入り葬祭業を始めた。新庄市内に三つのホールを展開する。1989年に高齢者移送サービス、介護用品販売・レンタルの「医療救急サービス」を設立。介護予防特化型施設「いきいき倶楽部シープ」を運営する。社員はグループ全体で37人。本社所在地は新庄市大町3の41。

【私と新聞】e聞、時間と場所選ばず
 沼澤社長は山形新聞を「愛読紙」とする。職業柄、おくやみ欄から読み始め、自社で申し込みを受けた訃報の掲載を確認する。その後に各面のトップ記事を一通り読み、深く知りたいと思ったニュースについて時間をかけて読む。
 一番興味があるのは地域面という。「地域企業の経営者にとって、地域のニュースを知ることはお客さまと良いコミュニケーションを図る上で重要だと考えている。地域に生かされている会社だからこそ地元への理解を深めることは大切」と強調する。
 社員にも地方紙の重要性を伝えている。新聞紙を広げて読むのは不慣れだからと、読者限定電子新聞「やましんe聞」を活用している人もいるという。「時間と場所を選ばず大変便利なツールだ。自分も使用している」とし、新聞離れが指摘される若い世代への積極的なPRを提案する。

【週刊経済ワード】コロナ下の航空旅客需要
 新型コロナウイルス流行により、国内航空大手の旅客収入は2020年春に急減して以降、低迷が長期化している。一方で、米航空大手はワクチン接種の普及を背景に各社とも最悪期を抜けたとされる。国際航空運送協会(IATA)は、21年の世界の航空需要が19年比で43%にとどまると予測。コロナ前の水準に戻るのは24年ごろになるとしている。
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