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日本製乳
本間寿弘氏
本間寿弘氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状と、現状を踏まえた対策は。

 「当社は業務用チーズとミルクケーキを製造している。新型コロナウイルスにより旅行業や外食産業は大きな影響を受けており、当社も例外ではない。昨年10月ごろから持ち直しつつあるが、売り上げは年間で前年比2割ほど減少している。しかし量販店は比較的好調だ。問屋などを通じて商品を置いてもらったり、これまで置いていた店についても商品量の拡大を働き掛けたりしている。原料の牛乳は栄養分が豊富。特性を生かした商品を手掛け、消費者はもちろん原料の生産者や販売店など、全ての人が笑顔になれるような商品を届けたい」

 -求める人材は。

 「自ら変わり成長していくため、学びを継続していく人だ。仕事は人生を幸せに歩むための手段。同じ作業をやるにも学びや成長があれば、原料の状態や機械の調子などにも気付くことができる。お客さまに安全で安心な商品を届けるベースになり、新たな商品開発のアイデアにもつながる。年齢を重ねると価値観や固定観念から抜けられないケースが増えてくるが、年齢を問わず学び続ける気持ちを大切にしてもらいたい」

 -その力を身に付けるために必要なことは。

 「学ぶためには素直な心と好奇心、粘り強さが必要だ。素直でなければ、学ぶ対象を自分の少ない経験や間違った価値観で拒否するかもしれない。好奇心がなければ、そもそも新しいことにチャレンジしないだろう。学んでいく過程で思うように成果が出ない時期があるだろうが、そこを乗り越えると新たなことが見えてくるため、時には我慢も必要となる。採用時にもこうした点を重視している」

 -仕事上で最も影響を受けた人は。

 「特定の人はいないが、読書を通じて世界が広がり、多くの価値観や考え方を知ることができた。経済や経営、伝記、歴史、SFなどジャンルを問わずに読むが、京セラ創業者の稲盛和夫氏の著書には学べることが多い。『自分を横に置いて、他人に尽くすという利他の心で生きていく』『会社経営の目的は全従業員の幸せ』などの言葉が心に響いた。こうしたことを日々の業務に生かしていきたいと考えている。映画などでも教訓を学ぶことがある。私自身も学んでいる最中だ」

 ★本間寿弘氏(ほんま・としひろ) 秋田工業高等専門学校卒。1979(昭和54)年、森永乳業に入社し福島工場長(福島県)、村山工場長(東京都)を歴任。2016年6月に同社から出向し日本製乳社長に就いた。秋田県大館市出身。62歳。

 ★日本製乳 1919(大正8)年に高畠町で創業。60年に森永乳業と資本提携。61年に山形工場を新設稼働後、75年に本社を山形市に移した。78年ミルクケーキ工場を設立し操業開始。2008年に本社を高畠町に戻した。ミルクケーキは広く土産物として県民から愛されている。資本金1億4千万円、従業員はパートなど含め97人(4月1日現在)。本社・工場は高畠町糠野目高野壱694の1。

【私と新聞】県内情報役立てる
 単身赴任中の自宅では経済紙を購読し、山形新聞は会社で読むという本間寿弘社長。山形に住むのは初めてで、充実した県内情報を公私ともに役立てている。
 特に経済や流通、観光面の記事に注目し、新たな店ができれば、看板商品の「ミルクケーキ」を置いてもらうための営業を指示することも。商品の売り上げは観光と直結することから、新型コロナウイルス情報や観光イベントなども気に留める。本県の動向について森永乳業本社へ報告する際も記事を活用している。
 山形新聞にはこれまで同様、コロナ情報の充実を求める。「食を預かる企業だけに、対応を早くすることで消費者の安全にもつながる」。休日には花見の名所やイベントの情報などを基に足を運ぶこともある。

【週刊経済ワード】消費者物価指数
 消費者が購入する商品やサービスの価格動向を示す指数。総務省が毎月発表する。食料品や家電製品、電気代をはじめ生活に身近な品目の値動きが対象で、価格変動が大きい生鮮食品を除いた指数が重視される。物価は需要と供給のバランスを反映した「経済の体温計」とも呼ばれ、日銀は前年比2%上昇を政策目標とし、大規模な金融緩和策を続けている。
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