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山和建設社長
小山剛氏
小山剛氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、自社の取り組みは。

 「新型コロナウイルス感染拡大の影響に不安がある中、受注競争が以前より激しくなっている。中央ゼネコンなど当社より大きな企業が、小規模な工事にも入札参入するケースが増え、受注機会の低下を懸念している。当社も受注獲得のため、さらに小規模工事に参入せざるを得ない現状だ。当社の技術力が発揮できない、難易度の低い工事が増えると、技術力低下や企業の弱体化につながりかねないと危機感を抱いている」
 「また、建設工事の従事者数は25年前と比べ30%減少した上、高齢化も進み、年齢分布が逆ピラミッドのような形になっている。特に深刻な熟練工の人材不足を補うため、建設業でも情報通信技術(ICT)を活用した取り組みが推進されているが、全体的な普及にはまだ時間がかかりそうだ」
 「前述の課題解消を図るため、同じ地場ゼネコンの小野中村(福島県相馬市)と県をまたいで経営統合した。それぞれの地域で事業会社の優位性を生かしながら、共同企業体(JV)を組むなどして大規模工事の受注にも挑戦していく考えだ。またICT活用など両社の経験と技術を相互に共有し、従事者不足を補い合うとともに技術力の向上を目指し、地域発のゼネコン級の組織を構築したい。当社のような地場ゼネコンは『地域の守人(もりびと)』として、地域の安全を守る責務があると考える。地域の皆さんに将来も必要とされる企業であるよう、持ち株会社を中心とし健全かつ技術レベルが高く、機動力のある企業を目指したい」

 -会社が求める人材は。

 「建設工事においては、施工管理技士などの資格を持つ経験者を年齢問わず求めている。建設業に夢を抱き、新卒採用も年々増えている。中学や高校でインターンシップを体験した生徒が入社してくれたのはうれしい。やはり『仕事に誠実』『怠けない』『やる気と情熱がある』人材が望ましい。技術力は入社してから学ぶことができる」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「創業者である父の小山和夫(会長)だ。一代で現在の会社や組織を築き上げた才覚と、人の気持ちを積極的に理解しようとする優しさ、目的達成には一切の妥協なく誠実に物事に取り組む姿勢など、全てにおいて私がかなうところでない。先代を見習い、毎朝出勤する社員一人一人にお茶をつぐところから始めている」

 ★小山剛氏(こやま・つよし) 東北学院大工学部卒。1996年に山形建設に入社。2003年に山和建設に入社し建築部門の新設を主導。専務、副社長などを経て20年に社長就任。21年4月に山和建設・小野中村ホールディングス社長に就いた。小国町出身。47歳。

 ★山和建設 1970(昭和45)年に砂利採取販売業の小山建材として創業後、総合建設業となり77年、株式会社に改組し現社名となった。2019年に持ち株会社・山和建設ホールディングスを設立。21年4月に小野中村ホールディングス(福島県相馬市)と経営統合し、山和建設・小野中村ホールディングスを設立した。資本金5千万円。従業員数110人。本社は小国町町原93の1。

【私と新聞】地元選手の活躍に注目
 小山剛社長は山形新聞と全国紙1紙、業界紙3紙を購読している。山形新聞は中学生の頃から読み続けており「カラフルで読みやすい。写真も豊富だ」と評価する。中高・大学とスキーに打ち込んだスポーツマンで「スポーツ面はよく読む。地元選手の活躍をクローズアップしてくれるし、大会結果も丁寧に掲載してくれるので」と語る。

 読み方は1面で全体のニュースを把握した後、裏返して最終面のテレビ欄で大好きなスポーツ番組などをチェック。「スポーツ、ドラマ、映画の色分けがされているので番組を探しやすい」。そのまま社会面、スポーツ面、地域面、経済面と逆から読み進めるという。特に地域の動きを把握できる社会面はくまなく目を通し、地域面で身近な話題や出来事を確かめる。「地元重視でニュースを追う姿勢が良い。県外出張中でも山形新聞を読みたいと思うときがある」とほほ笑んだ。

【週刊経済ワード】選択的週休3日制
 希望する従業員に対して1週間に3日の休日を付与する制度。大学院に進学して専門的な知識を磨いたり、兼業や副業の時間に充てたりすることが想定されている。介護や子育てのほか、病気の治療やボランティア活動をやりやすくなるメリットもあるとされる。法律では休日は、週1日か4週間で4日以上を確保することが決まっている。
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