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八千代交通社長
石川康夫氏
石川康夫氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状は。

 「ハイヤー・タクシー業界は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が激減し、打撃を受けている。地域により減少幅は異なるが、特に夜の繁華街のある地域の落ち込みが大きく、月単位で7割減の所もある。生活に不可欠な公共交通機関として事業継続が求められるため、需要が減ったから休業すればいいというものではなく、各社とも公的支援制度を活用して経営と雇用を維持し、感染対策を徹底して営業している。不特定多数との接触がなく換気も万全として、飛行機で移動するような遠方に大型バスを利用するお客さまもいるが、マイナスの影響が大きい。一刻も早い収束を望む」

 -現状を踏まえ、対応は。

 「人口減少などによる需要減少やドライバー不足は、コロナ後も存在する課題。将来を見据えた収益性向上と需要の掘り起こしは不可欠だ。そのための方向性は『ドア・ツー・ドア』の移動ができるという他の公共交通にない特性を生かすこと。県ハイヤー協会加盟の各事業者は、障害のあるお客さまの料金を割り引いたり、ユニバーサルデザインの車両を導入したり、従業員研修を積んで車椅子への対応力を向上させたりと、手助けが必要な方々の外出を支援している」
 「同時にキャッシュレス決済や配車アプリの導入による利便性向上、効率化にも取り組んでいる。当社の場合、昨年3月にはタクシー全車両にタブレット端末を設置した。ほぼすべてのキャッシュレス決済に対応でき、感染予防の観点でも利用者に支持されている。持続可能な公共交通機関として必要な投資だ」

 -求める人材は。

 「課題に直面した時、判断を上司に任せて指示待ちに徹するのではなく、自分なりの判断やその根拠を添えて報告できる人材。そのような報告をするには仕事への責任感と業務上の知恵が欠かせないからだ。顧客ニーズを含め最も情報を持っているのは現場。意見を出しやすいよう現場の従業員と同じ目線で対応し、壁を作らず、社の方針を共有するよう心掛けている」

 -仕事上で最も影響を受けた人は。

 「出会う人みんなが師。多くの方から刺激を受け、育てていただいた。中でも影響を受けたのは長谷川清彦先代社長だ。お客さまの心をつかむ会話が上手で、決めたことは難しいことでも実行する人だった。受け継いだ有形無形の財産を基盤に、さらに発展させるのが4代目の自分の役割だと思っている」

 ★石川康夫氏(いしかわ・やすお) 千葉商科大商経学部卒。1981(昭和56)年八千代交通入社。総務を中心に経理・営業を経験し、2006年に社長就任。県ハイヤー協会長、東北ハイヤー・タクシー連合会副会長。山辺町出身。66歳。

 ★八千代交通 後に八千代グループ会長を務めた土屋武雄氏(故人)が1956(昭和31)年、八千代自動車としてタクシー免許を取得したのが始まり。60(同35)年に現法人を設立。61(同36)年に観光バスの免許、85(同60)年に旅行業の免許を取得した。73(同48)年に八千代観光バスを設立後、バス部門を同社に譲渡し、2011年に新たに観光バスの免許を取得した。現在は福祉車両5台を含め、タクシー64台、バス7台で営業する。従業員数は約80人、資本金4千万円。本社所在地は山形市南栄町2の11の21。

【私と新聞】情報収集のよりどころ
 石川康夫社長は毎朝5時から40分かけて、じっくり山形新聞に目を通す。最初に開くのは地域のページ。庄内、置賜地域を含め県内の動向が見えるからだ。同業他社を含めた企業の取り組み、市町村の施策も読み込む。「企業が適切に状況判断、意思決定を行うには、正しく、幅広い情報を迅速に収集することが重要。新聞は情報収集のよりどころ」と考えている。

 インターネットは多様な情報を手軽に入手できるが、「玉石混交で有用なものを選別する必要がある」とし、新聞の情報は「信頼性が高い」と評価する。その新聞の中でも山形新聞は「県内情報の掲載が他紙より早く詳細。新型コロナの発生状況、行政の支援策の情報収集でも活用している」と話した。

【週刊経済ワード】半導体の供給不足
 家電製品や自動車など幅広い製品に使われる半導体は「産業のコメ」とも呼ばれ、デジタル化の進展を背景に需要が拡大している。供給面では旭化成やルネサスエレクトロニクスなど国内工場の火災が相次ぎ、2月には米国の寒波で現地の工場が停止するなど混乱が広がっている。かつてに比べ日本の半導体メーカーの競争力は低下しており、安定供給の確保が国家的な課題となっている。
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