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最上世紀社長
中西愛子氏
中西愛子氏
【インタビュー】
 -業界の現状は。

 「プラスチック成型を始めて50年、会社組織になって40年たつ。同じ業態の会社は国内にさまざまあるが、最近は車載部品を扱う企業が多くなっている。わが社も製品全体の7割が車の部品として使われている。金型の設計、製造も行っているが、金型はいわば技術とノウハウのありなしがポイント。その面で日本企業は海外でも競争していけるが、量産を目指す会社は人件費の安い中国、タイなどに進出していくケースが多い。国内にいながらそうした相手とグローバルに競い合っていくためには、製品にいかに付加価値をつけるかが大切だ」
 「わが社は金型製造から成型、表面加工、組み立てまで一貫して社内で行っている。通常なら外部に発注する設備自体も自分たちでつくり制御する。その技術を持つ社員がいるのも当社の強みであり、取引先からの要望にもすぐに対応できる」

 -求める人材は。

 「社内にはさまざまな業務があるが、どれもプラ成型の“いろは”を知らないとできない。まずは成型現場でその基礎を学ぶところから始めてもらう。専門的な知識の深さより、いろいろなことに興味を持ち前向きに取り組む人を求めたい。日々の仕事は同じことの繰り返しのように見えるが、その中から自分なりの課題や楽しさを見つけ、常に向上心を持ち続けられるかどうかが重要。これは何歳になっても当てはまるし、最も難しいことだともいえる。そのような人と一緒に仕事をしたいと思っている」

 -仕事をする上で影響を受けた人物は。

 「同じ業界の経営者の方々はもとより、取引先や若い頃に勤めていた会社の先輩、学生さんなど仕事上さまざまな人との出会いがある。一つ一つがとても貴重で、そこに何かしらの刺激、発見がある。たくさんの顔が思い浮かび、とても1人に絞ることはできない」
 「しかしながら、先代(2017年に亡くなった父の斎藤明前社長)からは大きく影響を受けている。父は寡黙なタイプで、一代で会社を築いたが、これと決めたら『やるぞ』と号令をかけ先頭に立って突き進む。一方で、私は自分が引っ張るというより『みんなで頑張っていこう』という考えだ。最後の決断はするが、現場が力を出し切れるようにしていきたい。現場に多彩な人材を持つ企業こそが生き残っていけると思っている」

 ★中西愛子氏(なかにし・あいこ) 武蔵工業大(現東京都市大)工学部卒。都内の広告代理店と靴小売り大手に計15年勤務した後、2016年に入社し副社長。17年5月、社長に就任。大石田町出身。42歳。

 ★最上世紀 車載部品(カーエアコン、コントロールパネル、パワーウインドー部品など)、医療機器部品などのプラスチック成型、製造を手掛ける。1969(昭和44)年に斎藤製作所として創業、76年に最上世紀と社名を変更し、79年に株式会社化。95年、中国に大連最上世紀模塑有限公司を設立した。資本金1億円。経済産業省の地域未来牽引(けんいん)企業に選定されている。従業員数210人。本社は尾花沢市尾花沢1326の1。

【私と新聞】あらゆる記事、一度に視認
 新聞は各面とも満遍なく読むという中西愛子社長。時間が限られたときや移動の際はデジタル紙面も活用している。最も目が行くのは、やはり経済面。同じ業界や大手メーカーの動向にはしっかり目を通す。一方で、サッカーの話題もチェックを欠かさない。ひいきのチームや地元モンテディオ山形の活躍は気になる。社員の中にもモンテのサポーターがおり「今年こそはJ1昇格を、と言い合っている」という。

 デジタル活用は小説などの書籍にも及ぶが、デジタル新聞の場合、端末で拡大、縮小を繰り返す中で、本来なら見ておきたい記事を見逃す場合もあるという。その点、紙の新聞は「ページを開くとあらゆる記事が一度に目に入ってきて、視認性が高い」と特徴を挙げる。

【週刊経済ワード】バイデン政権の経済政策
 バイデン米政権は新型コロナウイルスの流行で悪化した景気の早期回復と所得などの格差是正を目指して「大きな政府」にかじを切り、3月に1兆9000億ドル(約210兆円)規模の巨額財政出動が実現した。財政出動はトランプ前政権時代の昨年3月以降、ワクチン開発のほか、家計や企業への支援を名目に断続的に実施され、単純計算で累計4兆ドル規模に上る。「大盤振る舞い」には、景気が過熱してインフレを招くとの懸念も強い。(ワシントン共同)
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