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サービスカーエムズ社長
田中正樹氏
田中正樹氏
【インタビュー】
 -新型コロナウイルス下の業界、自社の現状は。

 「半導体不足で(一部メーカーが減産し)新車の納期が遅れていることもあり、購入者が程度のいい中古車にシフトしているようだ。コロナ下で大変厳しいが、われわれの会社は何とか例年並みの販売実績を確保している。中古車業界でもハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)が売れている状況。今はコロナでどこにも行けない分、収束後の準備として高級車を購入する方がいる。ただ学生は大学に通う日数が減ったり、授業がオンラインになったりして、車を必要としない人が増えているようだ」
 「インターネットの普及に伴い、お客さまはネットで在庫状況を確認してから来店するスタイルに変わってきている。とはいえ車を実際に見て楽しむユーザーもいるし、質のいい車を確かめ納得して購入してもらいたい。現在、山形市の本社前の交差点近くに新しい店舗『エムズ西バイパス交差店』を整備している。軽自動車やコンパクトカーをはじめ、HVなど時代の流れに合わせた車を展示したいと考えている」

 -求める人材、社員教育の方針は。

 「若くて伸び盛りの人材を求めている。4月からは高卒2人の採用が決まった。働きやすい環境の定義は人それぞれ違うと思うので、私自身、自らの考えを押し付けるのではなく、考え方を変えながら臨機応変に社員と接することを心掛けている。お客さまが笑顔になればスタッフも笑顔になり、スタッフが笑顔でいればお客さまの笑顔につながる。そういった会社の経営方針を共有し、デジタル化が進むからこそ、人と人の結びつきを大事にしていきたい。社員はまさに“家族”。年間で約60日、昼食時に弁当をデリバリーして社員全員で食べる時間を設けている。同じ物を食べ、コミュニケーションを深めながら一体感を高めるようにしている」

 -影響を受けた人物は。

 「教材販売会社で働いていた当時の社長は、人を見抜く力があり、『自分もこうなりたい』と感じさせられた。そして会社員だった父(正志さん)は家族を養うため、時には副業で訪問販売の仕事などを一生懸命にやっていた。苦労している背中を見て育ち、父のような人間になってセールスをしたいと思った。10年前の3月25日に交通事故で亡くなったが、そういう悲惨な経験により、車や運転に対する気持ちは特別なものを持っている」

 ★田中正樹氏(たなか・まさき) 山形電波工業高(現・創学館高)卒業後、栃木県の中学生向け教材販売会社に就職し、山形支店と仙台支店で勤務。以降、山形市の学習塾勤務を経て1996年、中古車輸出を手掛ける「サービスカーエムズ」を創業した。2001年に有限会社化。山形市出身、51歳。

 ★サービスカーエムズ 中古車販売を中心に、車検、自動車整備、陸送、24時間受け付けのロードサービス、除雪など幅広く展開する。山形市西田2丁目に整備中の新店舗は4月末の完成予定。社名の「エムズ」(M’S)は「皆さんのために」との思いが込められている。従業員数30人、資本金300万円。本社所在地は山形市城西町5の35の43。

【私と新聞】本県選手の活躍が活力
 毎朝、山形新聞に目を通している田中社長は「地域のことがよく分かる。読まないと一日が始まらない」と強調。さまざまな情報を仕事に役立てているだけでなく、スノーボードの斯波正樹選手(山形南高出)をはじめ、本県出身のスポーツ選手の活躍に元気をもらっている。

 身近な人のニュースが載るのも地元紙ならではの面白さ。山形市在住の作家長岡弘樹さんは小中学校時代の同級生といい、「周囲にはなかなか信じてもらえないけど」と笑いながら、子どもの頃に家に遊びに行った記憶を懐かしそうに振り返る。長岡さんのヒット小説「教場」がドラマ化されたときはうれしかったと話し、関連記事の掲載も楽しみにしながら新聞をめくっている。

【週刊経済ワード】半導体の供給不足
 デジタル化の進展を背景に需要が拡大する中、新型コロナウイルス流行で落ち込んだ新車販売の急回復などで、半導体の需給は逼迫(ひっぱく)している。2月の米国の寒波による現地工場停止や、ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で今月19日に発生した火災のため状況が深刻化した。半導体は電気製品や自動車などに幅広く使われ、業種を超えた奪い合いになっている。自動車メーカーが調達難で減産を強いられるなど影響が広がっている。
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