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ASMトランスポート社長
工藤亜紀子氏
工藤亜紀子氏
【インタビュー】
 -自社の現状と力を入れている取り組みは。

 「冷蔵・冷凍の倉庫を保有している強みを生かし、食品の輸送と保管を主体としている。輸入した食品を酒田港から通関前まで保管する保税蔵置場の許可も取った。内陸地域の食品加工などの顧客にとって、首都圏から原材料を輸送するコストなどを削減する上でも需要があり取得した。適正な運賃、法令を順守したドライバーの労働時間や休息などを徹底し、働き方改革も進めたところ社員の定着率は向上した。新型コロナウイルス感染拡大では業界に対する風評被害もあったが、物流の重要性を理解してもらえた。酒田を県内外に知ってもらいたいと考え、ラッピングトラックを製作した。少しでも酒田のPRになればうれしい」

 -求める人材は。

 「あまりハードルは高くない。あいさつができて何事も前向きに取り組み、やる気があって頑張れる人。大型免許を取得していなくても、しっかりと会社の方針を理解し、話を聞ける人なら歓迎している。大型車の免許を取得する費用の貸付制度も創設し、入社後すぐには取得できない高卒者ら若手の育成にも力を入れている」

 -求める能力は。

 「自分で仕事を見つけ、何をすべきか考えられる力。長距離を1人で運転することが多いため自己管理能力も必要で、自分に甘い人は続かないかもしれない。社員には仕事を通して社是の『人を生かし物を活(い)かす心』を養うことも大切にしてほしい」

 -影響を受けた人物は。

 「苦労して創業した両親。段ボール業者に勤め青果市場と取引があった会長の父昭文(75)が、青果物を運ぶ『工藤運送』を母誠子(75)と始めた。その後は姉昌子のMと亜紀子のAで、母誠子(せいこ)のSを支えるという願いを込め社名を『ASM』とした。父から『継いでほしい』と言われ、別の仕事をしながら大型車の免許を30歳で取った。『現場を知っていることが一番の強みだ』という母の教え通り、入社後は現場にこだわり、倉庫やドライバーの仕事から始めた。おかげで今の自分がある」

 ★工藤亜紀子氏(くどう・あきこ) 酒田西高卒業後、太陽ネットワーク物流(東京)で配送に従事し、大型量販店での勤務を経て2003年入社。冷蔵庫部門、運送部を経験し11年常務、12年専務に就任、14年から現職。高校時代は山岳部。酒田市出身。47歳。

 ★ASM(エイエスエム)トランスポート 1975(昭和50)年、工藤社長の父で現会長の昭文氏と相談役の母誠子氏が創業。青果物、燃料油脂などを販売するエイエスエム商会を設立後、91年に現在の社名に変更。95年には現在地に本社を新築移転し、98年からは冷蔵冷凍倉庫業も始めた。資本金9500万円、従業員80人。冷蔵冷凍車など大型車47台を保有する。本社所在地は酒田市京田2の1の11。

【私と新聞】経営のヒントが詰まっている
 まず出社後すぐ新聞に目を通すのが日課という工藤社長。「電子版ではなく、もっぱら紙の新聞。読みやすく自分には合っている」と話す。全体に目を通した後、時間に余裕があれば気になった記事をじっくりと読む。その近くにある記事にも自然と目が行くという。

 山形新聞だけでなく業界紙も読んでおり、「経営者として考えなければならないことや、そのヒントが詰まっている」。業界紙からは同業他社の取り組みや法令の改正などに伴う対応などの情報を得て、山形新聞では事件、事故から地域の話題、県内の経済情勢、おくやみまで読んでいる。

 朝礼や毎日、従業員に送るメールで、感動した記事や考えてほしいニュースをピックアップして伝えている。「トップニュースなどは押さえておく必要がある。社員一人一人のスキルや知識の向上につながる」と新聞の重要性を強調した。

【週刊経済ワード】基幹労連
 鉄鋼や重工、造船、非鉄金属などに関連する企業の労働組合が加盟する産業別労組。正式名称は「日本基幹産業労働組合連合会」。鉄鋼労連や造船重機労連、非鉄連合を統一し2003年に結成した。14年には建設連合が加わった。20年11月現在で約370労組、約27万5000人で構成している。自動車業界の自動車総連、電機業界の電機連合などと並ぶ産業別労組の一つ。
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