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東北萬国社社長
中村明子さん
中村明子さん
【インタビュー】
 -業界や自社の現状は。

 「ここ2、3年は国内のコーヒー輸入量、消費量がいずれも横ばいだが、それ以前は過去最高を更新する時期があった。背景に(豆の産地などにこだわる)『サードウエーブコーヒー』の流れがある。最高品質のスペシャルティコーヒーを楽しみ、コンビニでも入れたてのコーヒーを購入できるなど、家庭や職場のあらゆるシーンで飲まれるようになった。そんな中で新型コロナウイルスの感染が拡大、現在は『おうちカフェ』が増えている。何かと制限が求められる生活でもコーヒーを飲みながら安らごうと、お気に入りの風味や豆、産地を見つけようとする方が多くなったように感じている」

 「現在のさまざまなニーズに対応するため今年9月、仙台市太白区に新たな直営店をオープンさせた。この店舗は焙煎(ばいせん)機を備えたロースタリーカフェでコーヒーラボラトリーを併設し、コーヒーインストラクターの講習会を開いたり開業したい方をサポートしたりする体制を整えている。山形県内でも同じような直営店を新設したい。またソフトクリーム事業については専業メーカー日世の特約店として、東北トップのシェアを維持している。今後もご当地ソフトの開発を含め、さまざまなメニューの提供に努めたい」

 -今年、山形市内でコーヒーの苗を育てる農園事業を開始した。

 「創業60年の節目を記念した取り組みで、夢のようなチャレンジだが約2年後に収穫する計画でいる。コーヒーは厳しい環境で育った方が味が凝縮し、おいしくなるとも言われている。成功すれば、生産から焙煎、抽出して一杯のコーヒーになるまでの一貫した流れが県内で楽しめるようになる。皆さんに喜んでもらえるように頑張りたい」

 -求める人材は。

 「自分で考え、先入観にとらわれずに行動できる人。新型コロナの影響もあって業界の変化は激しく、『今まではこうだった』『今までと違うので無理』では、ニューノーマル(新しい日常)を築けない。私自身、自らの考えや情報を社員に伝えるように意識している。逆にいろいろな社員やお客さまから意見を聞くようにして、自分が持っていない考えを取り入れるようにしている。それによって新しいアイデアが生まれる」

 -仕事上、影響を受けた人物は。

 「創業者の両親(本郷富也、和枝)は私を今の道に導いてくれた。とても感謝している。また業界トップクラスの会社・アンリミテッド(東京)を経営する松原大地さん、平井麗奈さん。私は同業者に当たるのだけれど、惜しみなく何でも教えてくださり感銘を受けている。『私もそうありたい、人を勇気づけられる存在になりたい』と思うきっかけになった」

 ★中村明子さん(なかむら・あきこ) 山形西高から学習院大経済学部に進み、都内の百貨店で勤務。1993年に帰郷し東北萬国社に入社した。統括部長、常務などを経て2018年から社長。山形市出身。52歳。

 ★東北萬国社 1960(昭和35)年、山形市七日町で創業し、65年に法人化。東北地方を主な営業エリアとし、自社焙煎コーヒー、ソフトクリームの卸・販売などを手掛ける。直営店は本県と宮城県で計3店舗を展開。資本金1千万円、社員79人。本社所在地は山形市大野目3の6の23。

【私と新聞】読むと見える“交差点”
 中村社長は電子版を含め日々、山形新聞に目を通している。「人や地域に関する地元の情報が豊富。読んでいると“交差点”も見えてくる」と、自分との接点や物事の関わりが分かるため興味深く読んでいる。

 例えばコーヒー業界では東京都目黒区に「スターバックス・リザーブ・ロースタリー東京」がオープンした際、テラスに天童木工(天童市)の椅子やテーブルが採用されていることが本紙に掲載された。本県のものづくり企業の魅力を再確認することができ、印象に残る記事の一つに挙げる。

 前社長で母の和枝さんも新聞好きで、気に入った記事を切り抜いて教えてくれるという。先日は中学時代の恩師が絵本を作ったとの話題が載り、「(高齢になった)今も元気に活動されていて、私も頑張らないといけないと励まされた」と柔らかい表情をみせた。

【週刊経済ワード】日銀の資金繰り支援策
 日銀が、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った企業の資金調達を支えるために設けた制度。今年3~5月に開いた金融政策決定会合で導入を決めた。民間金融機関に有利な条件で資金を供給するほか、企業が発行する社債とコマーシャルペーパー(CP)の購入枠を計20兆円に増やした。いずれも来年3月末までの時限措置。
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