NIBフロントライン

平野屋社長
平浩一郎氏
平浩一郎氏
【インタビュー】
 -業界の現状は。

 「県内では従来の納入先であるスーパーやコンビニ、一般小売店に加え、ドラッグストアやディスカウントストアなど小売り業態が多様化し、それに伴い県外大手の製品が大量に流入している。一方、人口減少の進展、単身世帯や高齢者世帯の増加などで消費量自体が減少傾向にあり、メーカー間の競争は激しさを増している」

 -そうした状況を踏まえ、自社の取り組みは。

 「自社製品への特徴付けと安心安全を重点テーマに、会社全体で取り組んでいる。具体的には、県内と近隣県が納入先の豆腐類は市場が縮小傾向にあり、より品質重視、製品安定化の姿勢が大切と考える。こんにゃく類は看板商品の登録商標『玉こん』の味付けタイプが、その利便性から東京や大阪など都市部を中心に伸長している。品質面でのこだわりと共に安定供給体制を構築し、本場山形の味を全国にお届けしたい」

 「また来年6月から食品衛生管理の国際基準『HACCP(ハサップ)』に沿った衛生管理の義務化が開始されることもあり、食の安心安全については近年特に力を入れてきた。昨年7月に食品安全規格の適合証明を受けたが、実践を通してさらなる高みを目指し各部門チームで取り組んでいる。厳しい競争下で生き残るには品質重視、安心安全の姿勢をより明確にし、顧客に選んでもらえるものづくりの徹底に尽きると思う。新型コロナウイルス禍で先行き不透明感は増しているが、ウィズ・コロナにも柔軟に対応しながら、この苦境を乗り切っていきたい」

 -会社が求める人材は。

 「食品業は健康に直結する業種であり、日々の業務には多様な約束事や厳格なルールが数多くある。それらに愚直に丁寧に取り組むことが大事だ。どんな状況でも当たり前のことを当たり前に行い、守るべきことはしっかり守り、あらゆる面でものづくりに真摯(しんし)であることが第一と考える。また現在、問題発見能力を養うことに注力している。顕在化した問題だけではなく、潜在的問題を見つけてリスクとして認識し、大事に至る前に対応できる人材の育成に努めている。HACCPチームや製販で積極的なコミュニケーションを図り、共に考えながら些細(ささい)なことでも追求し、解決していこうとする企業風土を醸成していきたい」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「山形に戻ったばかりの頃に同業者の勉強会に参加し、ものづくりに対する熱い思いに刺激を受けたが、やはり会長(父の平忠一前社長)だろう。これまで身近にいてくれて、経験や考え方など大切な場面で相談できるので安心感がある」

 ★平浩一郎氏(たいら・こういちろう) 日大経済学部卒。都内の企業に6年間勤務後、1997年に平野屋入社。製造や営業の現場に携わり、専務を経て2013年、社長に就任。長井市出身。51歳。

 ★平野屋 豆腐、油揚げ、こんにゃくなど製造販売。1756(宝暦6)年に現在の長井市あら町で絹糸業を創業。1877(明治10)年に豆腐業に転じ、1960(昭和35)年に有限会社平野屋商店として法人化、66年に株式会社平野屋に改組。67年「玉こん」を商標登録した。同市成田に88年、新工場建設。資本金4千万円、従業員数約50人。本社は長井市成田町屋川原1021の1。

【私と新聞】企業の足跡、考え方知る
 平浩一郎社長は出勤時間が早いこともあり、朝は山形新聞の地域情報や経済面、おくやみ欄だけに目を通し、特集や連載などは昼の休憩時間に改めてじっくり読むことにしている。「これぞ老舗」「NIBフロントライン」の連載は県内企業の足跡や経営者の考えを知ることができ、興味を持って読んでいるという。

 若い頃、新聞は隅々まで読まなければならないとの考え方にとらわれていたというが、現在は必要な情報だけ、気楽に目を通すようになったと語る。会社では専門紙や業界紙でトレンドを把握し、そのほかはネットニュースやテレビの視聴で世の中の状況をつかむようにしているという。ただ、「本県で生活し、商売をしているので、県内情報を得るには山形新聞が一番であり、欠かせない情報源だ」と話した。

【週刊経済ワード】日本の携帯電話料金
 日本のスマートフォンの主要な料金プランは国際的にみて割高な水準にあるとされ、総務省がロンドンやパリ、ソウルなど世界6都市を対象に行った調査ではデータ容量20ギガバイトのプランで東京が最も高額となっている。2ギガバイトと5ギガバイトのプランもニューヨークに次いで高い。菅政権は携帯大手3社がシェアの9割近くを占める寡占状態が要因とみて競争を促している。
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