NIBフロントライン

メコム社長
安部弘行氏
安部弘行氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状は。

 「昨年は消費税増税前の駆け込み需要や基本ソフト・ウィンドウズ7のサポート終了に伴う買い替え需要があり、業界全体が好調だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大でテレワークや非接触の働き方導入による需要が一部あった一方、大規模投資の先送り・中止の影響で売り上げは落ち込んでいる。IT企業とはいえ、お客さまの要望・課題をうかがい、各社に合った提案、支援、アフターフォローをする仕事のため、顧客訪問が制限された影響も大きい。またメーカーの最新動向や、同業他社の先進的取り組みを自社に取り入れるため生の情報を仕入れる場でもあった出張、会議がなくなったことも損失と感じている」

 -コロナ禍での挑戦は。

 「テレワークやオンライン会議を体感できるテレワークセンターを6月に本社に開設し、顧客に開放している。人工知能(AI)やRPA(ロボットによる業務の自動化)を紹介するAIセンターを開設する予定だったが、困っている顧客の状況を受け3月に方針転換した。かなり反響が大きい。アフターコロナを見据えればRPAの普及も重要だ。ロボットというと工場で働いたり接客したりとのイメージがあると思うが、多くがソフト上のロボット。定型業務などが自動化できる。日本企業の生産性を向上させるにはRPAの活用が不可欠だ」

 -求める人材と育成法は。

 「テレワークが主流の時代に、自己管理で成果を上げられる人材だ。また営業、メンテナンス、サポートの仕事はいずれも顧客と向き合って、きめ細かな対応が求められるため、コミュニケーション能力も必要だ。社員が自ら成長できるよう『何でもナンバーワン』制度を設け、この分野では自分が一番という資格を取得させ、企業力の向上につなげている。資格の受験費用も助成している」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「1人挙げるなら日本経営品質賞など数々の受賞歴がある西精工(徳島市)の西泰宏社長だ。社員は大切な家族と同じ存在として大家族主義を掲げている。当社の業務はチームで対応しなければならない場合が多く、社員の連携を強くする必要があった。情報共有ツールで専門知識、顧客の声から子どもの成長に関する話題まで、全員で共有している。社員が会社に来るのが楽しみで仕方ない会社、地域に必要とされる会社を目指している」

 ★安部弘行氏(あべ・ひろゆき) 駒沢大卒業後、キヤノンマーケティングジャパンに入社。2年後に帰郷し、父親が社長を務めるメコムに入社。2002年、42歳で社長に就任、県外進出も実現させた。山形市出身。59歳。

 ★メコム 1946(昭和21)年に青写真焼き付け業として創業し、翌47年に東北感光社を設立。計算機やパソコンなど時代に合わせて商品を変え97年、社名をメコムに改称した。現在はソフト開発やネットワーク構築、IT機器販売などが中心。仙台市、福島県いわき市にも拠点を持つ。山形市と青森、熊本県では太陽光発電事業を展開する。資本金7200万円。従業員はグループ全体で240人。本社所在地は山形市香澄町2の9の21。

【私と新聞】地元の情報が話題に
 山形新聞に毎朝目を通す安部弘行社長は、電子新聞も購読し、仕事の状況に応じて使い分けている。1面から全ての面を読むが、最も熟読するのは地域版。「地元の細かな情報は重要。お客さまや社員との話題のきっかけにもなる」と語る。

 忘れられないのは、東日本大震災の惨状を伝えた2011年3月12日の本紙紙面。がれきの山と、炎を上げる被災地の写真に衝撃を受けた。当時、震災で事故を起こした東京電力福島第1原発にほど近い福島県浪江町や仙台市にも拠点を構えており、とてもひとごととは捉えられなかった。おにぎり500個をかき集め、14日早朝に仙台に出発。これを皮切りに水や粉ミルク、多様な物資を集め、被災者や障害者施設の支援に駆け回ったことを思い出す。

 山形新聞には「一つの事実の背景にある苦労話や裏話を深く掘り下げてほしい」と期待を寄せた。

【週刊経済ワード】贈与税
 個人から不動産や現金などの財産をもらった人にかかる税金。死亡した親や配偶者らの財産を受け継ぐ時に課される相続税を補完する。贈与された財産額が高いほど税率も上がる。年間で計110万円以下なら非課税で、扶養義務者から必要な都度、教育費や生活費として贈与された場合も税金はかからない。非課税制度は教育費や結婚・子育てのほか、子や孫への住宅購入資金の贈与でも設けている。
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