NIBフロントライン

エイアンドシー社長
伊藤芳明氏
伊藤芳明氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状を踏まえ、何に挑戦するか。

 「携帯電話業界を中期的に見ると、主流がガラケー(従来型の携帯端末)からスマートフォンに移行し、スマホも次々と新商品が市場投入され買い換えが進んだ。しかし昨年10月に携帯電話料金引き下げに向けた改正電気通信事業法が施行され、消費者がよりお得なプランの登場を待って買い換えを控える動きが出ていた。一方で高齢者層に支持されてきたガラケーのサービス終了を見据え、簡単スマホへの移行を進めなければならない。スマホを持つ小学生も一般的になり、安全な使い方教室への講師派遣を積極的に行っている。新型コロナウイルス禍で一時的に売り上げが激減したが、テレワークのためのモバイル端末や体温測定カメラの需要は伸びた。さまざまな変化への対応が求められる時代。店舗力、人材力がより重要になっている」

 「こうした中、本年度はお客さまを笑顔にする笑顔プロジェクトに取り組んでいる。近年は新規事業案を社員から募集し、ツタヤ店舗への併設で相乗効果が期待できるコインランドリー、カフェの運営を具現化した。社員の経営参画意識を大事にしたい。社員がより働きがいを感じられるための新規事業も検討中だ」

 -求める人材と育成法は。

 「最も大切な心構えは『素直な心』。松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏も心掛けていた。単に従順ということではない。何にもとらわれず、物事の真実と何が正しいのかを見極めそれに従う心のこと。多くの事柄を吸収して成長するにも必要な要素だ。当社はPHP研究所に依頼し、入社時から役職に応じた研修制度で継続的な人材育成を行っている。新入社員の配属先では相談しやすい入社2、3年目の先輩社員による1対1の個別指導を実施し、離職防止、精神的負担の軽減に役立っている。指導する側の研修も行っており、この層の成長にもつながっている」

 -仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「1人目は松下氏。書籍を繰り返し読み、立場が変わるごとにイズムを学んできた。自分1人の能力には限界があるとして、多様な人の意見に耳を傾け、判断する『衆知』による経営も大切にしている。2人目は当社会長の清野伸昭山形パナソニック会長。経営理念はもちろん、紳士的な所作や服装まで全てを学ばせていただいている。穏やかな人柄だが『商売は真剣勝負、経営は闘魂が大事』と力強く話される内容は、体育会系出身の自分に響く」

 ★伊藤芳明氏(いとう・よしあき) 日本大経済学部を卒業し1983(昭和58)年、山形ナショナル(現山形パナソニック)に入社。家電量販店などを担当する法人営業部長、執行役員、取締役を経て2013年エイアンドシーに出向し、同年社長に就任した。天童市出身。59歳。

 ★エイアンドシー 1973(昭和48)年、山形ナショナル(現山形パナソニック)のグループ社として設立。携帯電話大手3キャリアの代理店を運営するモバイル事業が柱。県内を中心に37店舗(うち直営24店舗)を展開する。TSUTAYA(ツタヤ)2店舗、コインランドリー4店舗、カフェも運営するほか、デジタルディスプレーの設置などのビジネスサポート事業、保険事業も手掛ける。資本金5千万円、従業員は約280人。本社は山形市西田5の26の1。

【私と新聞】生活に欠かせぬインフラ
 毎朝、一番にコーヒーを飲みながらじっくり山形新聞を読んで身支度を調え始めるという伊藤芳明社長。山形新聞は地元企業に欠かせない情報が盛りだくさんだとして、テレビCMで流れるキャッチフレーズを引用し「まさに電気、水道、ガス、山新。生活に欠かせないインフラ」と語る。

 世界、日本の政治、経済に加えて県内各地の話題、お悔やみ欄などが一紙にまとめられており、カラー面が豊富で見やすい、と評価する。個人的には、県内老舗企業の歴史や受け継がれる金言を紹介する「これぞ老舗」(毎週月曜)や、山形市在住の作家・黒木あるじさんの連載「真夜中のたわごと」(毎月第1、3水曜)のファンだという。

 社員にも本紙を読む習慣をつけてほしいと考えており「お客さまとの話題づくりに生かしてほしい」と話した。

【週刊経済ワード】日本の花火市場
 国内の花火製造業の売上高など年間の市場規模は200億円程度と推定される。新型コロナウイルスによる直接の損失額は約194億円とみられ、市場規模に迫る。大会が中止になっても、準備にかかった経費や違約金が花火製造業者に支払われる商習慣がなく、損失額が膨らんだ。花火の制作は手作業が多いため大量生産が困難で、従業員数20人以下の小規模事業者が大半を占める。
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