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カネト製作所社長
佐藤晃次氏
佐藤晃次氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状は。

 「昨年から米中貿易摩擦の影響を受けてきたが、何とか売り上げを維持してきた。だが、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なり“ダブルパンチ”となって、製造業は今から厳しさが増してくるだろう。われわれも県外に物を売るための営業ができず、自社開発製品を納めた企業を訪問してのメンテナンスも難しい。さらに、ものづくりの段取りを大幅に効率化する設備更新を予定していたが、コロナを受けて現在は様子をみることにしている。この事態から復活するには数年かかると見込んでいる」

 「一方、何でも加工可能な私たちの技術を生かし、これまでコロナ対策の受注に対応してきたところだ。飛沫(ひまつ)感染防止用の透明樹脂パネルなどを製造し、上山市内の飲食店や温泉旅館に提供している。新しい生活様式の普及に合わせて、このようなニーズは高まるのではないだろうか」

 -求める人材と育成法は。

 「男女を問わず、ものづくりに興味を持っていることが前提になる。業界用語や技術的なことは入社してからでも十分学べる。また、仲間としっかりコミュニケーションを取れることが重要だ。全てを一人の力で解決できるわけではない。今回のコロナで生じた空き時間を活用し、部署の垣根を越えた勉強会や、生産性を上げるためのディスカッションを実施している。他の部署の仕事内容や大変さを覚えてもらい、将来、何でもできるようになってほしいと考えている。それがコミュニケーション能力を養うことにもつながるはずだ。コロナ禍をプラスに捉えた試みだとも思う。さらに、障害のある人も採用して働く場を提供するなど、地域に目を向けた取り組みを大切にしている」

 -仕事上、影響を受けた人物は。

 「京セラ創業者の稲盛和夫さんを挙げたい。読書が好きで稲盛さんの著書を読んでおり、県内で開かれた講演会にも参加したことがある。同じものづくり業界の関係者であり、現場からはい上がり大変な苦労をされた方。『一生懸命やれば道は開ける。やらなければ道は開けない』との考え方を参考にしている」

 ★佐藤晃次氏(さとう・こうじ) 山形工業高を卒業後、1980(昭和55)年にカネト製作所入社。製造部長などを経て2008年に常務、12年に社長就任。上山市出身。59歳。

 ★カネト製作所 1967(昭和42)年、上山市金生で創業。同市原口への工場移転を経て95年、現在地に本社と工場を整備した。一般機器類の精密板金加工を主力に、ガラス瓶破砕機などのリサイクル装置も開発し、環境保全に貢献している。98年に山新3P賞(繁栄賞)、2013年度に県産業賞などを受賞。資本金4950万円、従業員60人。本社は上山市中山5633。

【私と新聞】上山のニュースが楽しみ
 日頃から山形新聞や全国紙に目を通している佐藤社長は、東北地方をはじめ、本県の話題に注目しながらページをめくっている。中でも本紙の地域版は「四つのエリアごとに情報がまとめられていて分かりやすい」と語る。

 生まれ育った上山市のニュースを読むのが楽しみの一つ。新型コロナウイルス感染拡大に関連し、市内で行われているさまざまな対応を例に「ある程度コロナと共に生きていく時代になった。若い人たちによる取り組みはいいこと」と受け止めている。

【週刊経済ワード】景気ウオッチャー調査
 地域の景気動向に敏感とされるスーパー店長や百貨店の売り場担当者、タクシー運転手ら全国の約2000人を「景気ウオッチャー」として選び、景気の現状や先行きを尋ねる調査。内閣府が毎月下旬に調査し、翌月の初旬から中旬に公表する。現場の生の声から、景況感を素早く把握する目的がある。指数が50を超えると景気が上向き、50未満なら下向きであることを示す。
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