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天元台社長
山田長一氏
山田長一氏
【インタビュー】
 -業界の現状は。

 「新型コロナウイルス感染症による営業自粛で運輸サービス業、宿泊飲食業は大変厳しい状況にある。特に天元台は他県からの来訪者も多いため、感染防止についてはより一層、細やかな対策を講じる必要がある。具体的には当社のロープウエーは40人乗りだが『3密』を防ぐため、半分以下の15人で『満車』にしている。運行中は会話をしないようさらに協力してもらっている」

 「一方で安全運行に資する機材の整備や社員教育も徹底しなければならない。昨年は夏山営業初日に、強風で鉄塔にゴンドラが衝突する事故が発生し多くの方に迷惑を掛けた。今年は6月6日に夏山営業を始めたが、おかげさまで順調なスタートを切れたと思う。厳しい状況下でも足を運んでくれる方々に感謝し、末永く営業できる形を模索していきたい」

 -求める人材とは。必要な技術を身に付けるため、どんな努力をするべきか。

 「職場は標高1350メートルの位置にある。気象状況は目まぐるしく変わる。強風などでリフトやロープウエーを動かせない場合、客を救助し、誘導することもある。過酷な自然の中でも適応できる体力、気力がまずもって重要だ。環境の変化を受け入れて利活用できる順応性も必要となる。知識面では天候の変化を予測できるようになってほしい。日々の天気予報を基に天元台の地形、方位、標高などの条件をプラスし、予測の精度を向上させていきたい。山の天候を正確に把握することは、安全確保と快適なサービス提供に直結するからだ」

 -仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「登山ガイドをしていた市出身の鈴木亮さん(故人)だ。高山植物に対する知識が豊富で登山客への的確なサービスも素晴らしく、ガイドの基本を勉強させてもらった。山の知識をしっかり身に付けることで自信が生まれ、客に安心感を与えることを学んだ。特に1973(昭和48)年7月のことが忘れられない。現在の天皇陛下が浩宮さま時代に来県され、鈴木さんは先頭で案内し、私は後尾を務めた。大きな声で説明していた。特に口にはしなかったが、登山ガイドは『大きな声』が一つの才能だと思い知った。ルートや花などの説明が聞きやすいのはもちろん、万が一アクシデントが生じたとき、即座に指示や危険を伝えることができるからだ」

 ★山田長一氏(やまだ・ちょういち) 赤湯園芸高卒。吾妻観光開発(現天元台)に入社後いったん退社し、米沢相互企画(現東京第一ホテル米沢)を経て2008年11月、天元台に戻った。統括支配人、常務を経て17年7月から現職。米沢市出身。65歳。

 ★天元台 2002年11月創業。ロープウエーやリフトによる旅客運送事業と旅館、食堂、スポーツ施設経営を手掛ける。資本金4200万円、従業員数約30人。本社所在地は米沢市李山12118の6。

【私と新聞】本紙読み、新たな商機模索
 山田長一社長は起床後、すぐに山形新聞に目を通す。かつては、まず社会面を開いて事件事故のニュースを読んでいたが、新型コロナの問題が拡大していく中、「やはり1面から順にページをめくっていくと内容がスムーズに入ってくることを実感した」という。

 特に関心を持って読んでいるのが同業他社の話題。最近では新型コロナの影響で富士山の夏山登山が中止になったニュースに、自社の状況を重ねた。「さまざまな企業の経営判断は参考になる」という。地元企業の新商品や新たな取り組みも細かくチェックし、新たなビジネスチャンスを模索している。

【週刊経済ワード】熱中症予防行動
 新型コロナウイルス感染と熱中症の両方を予防するための指針。3密を避けるなど「新しい生活様式」に基づき、政府が5月下旬に公表した。通常の熱中症対策に加え、マスク着用に関する注意事項を盛り込んだ。気温や湿度の高い中での着用には特に注意が必要だとして、負荷のかかる作業や運動を避けたり、人との距離を2メートル以上取った上で適宜外したりするよう促している。
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