NIBフロントライン

山形ビルサービス社長
與田貴博氏
與田貴博氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状、力を入れている取り組みは。

 「ビルメンテナンス業も人手不足が深刻化し、人手だけに頼っていてはお客さまが求める質と価格でのサービスが提供できなくなっている。当社は空調設備をはじめとする建物の遠隔監視や、AI(人工知能)による自動運転技術が備わった大型床洗浄ロボットなどの先進技術を先駆けて導入している。省力化を図るだけではなく、従業員の負担を減らし安全で働きやすい環境を確保するためだ。同時に中途採用、とりわけ元気な高齢者の雇用を積極的に行っている。外国人労働者の受け入れも今年から本格化した。また新型コロナウイルスの感染拡大に直面している今こそ、病院の院内感染防止など四半世紀以上前から手掛けてきた公衆衛生事業に、企業としての社会的責任を果たすべく取り組んでいきたい」

 -求める人材と育成方法は。

 「求めるのは、会社と共に成長し、心まで磨き上げることができる素直な人材。明るい、楽しい、喜び、感謝、謙虚、真摯(しんし)といった前向きな感情、在り方は、プラスのエネルギーがあると考えている。前向きな思考が前向きな行動につながってプラスの連鎖を生み、不思議と良い成果に結びつく。前向きな思考は、それだけで資産だ。採用した人材は何歳だろうが育てる。全社員への年2回の研修をはじめ、分け隔てのない教育課程でキャリア形成を進めている点も当社の強み。先進技術の導入で省力化はできるが、ビルメンテナンスは人とのつながり、信頼が重要な仕事。技術、知識はもちろん、人としてどうあるべきかも学んでもらっている」

 -仕事上、最も影響を受けた人は。

 「創業者の與田博利。中央大の学生時代、都内で始まったばかりのビル清掃のアルバイトをした経験を生かし、卒業後まもなく起業した。福岡県出身で、山形県を選んだのはバイト仲間が中山町出身だったから。自社の清掃は自社で行っていた時代、見知らぬ土地での草創期は筆舌に尽くし難い苦労があったと聞く。困難に負けずに、多くの人に助けていただいた恩を決して忘れず、義理を重んじる尊敬すべき人柄だった。人に感謝し、自分には謙虚に、何事にも真摯な姿勢で生きることを教えてくれた」

 ★與田貴博氏(よだ・たかひろ) 米国・サザンイリノイ大経済学部卒。山形ビルサービス創業者で祖母の弟、故與田博利氏の養子となり2000年、同社に入社。常務などを経て19年5月から社長。與田教育財団理事。山形南高同窓会副会長。山形市出身。44歳。

 ★山形ビルサービス 1957(昭和32)年、東北初というビルメンテナンス業として創業。清掃業にとどまらず設備管理、警備、環境衛生分析などの分野にも業務拡大し、各部門を山形警備保障、東北レンタルなどの別会社に分離。YBSグループとして県内と仙台市を中心に事業展開する。資本金9800万円、従業員は単体で1755人(4月1日現在)。本社所在地は山形市志戸田550。

【私と新聞】情報読み解き、整理できる
 情報があふれる現代社会では「望まなくても一方的に、膨大な情報が押しつけられることにストレスを感じることも多い」と與田貴博社長はもらす。インターネット上には真偽が不明の情報、自分でかみ砕かなければならない情報もある。そんな中で新聞は「自分のタイミングで情報を読み解き、整理できる媒体。紙面が限られているからこそ、最小限の言葉で結論、提言がまとめられている点も優れている」と評価する。

 自分のアンテナに合致する記事が目に留まるのも“関心圏外”の記事に刺激を受けるのも「ラッキーだと感じる」と與田社長。特に山形新聞の地域版が親しみ深く、取引先や家族、友人とのコミュニケーションに重宝している。「地元紙ならではの情報の温かみがある。地域社会との接点を再確認でき、事業領域の在り方や商売の本質そのものを考えさせられることがある」と語った。

【週刊経済ワード】新型コロナウイルス特措法
 2013年に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に新型コロナウイルス感染症を追加した改正法。国や都道府県の責務などを規定。感染が急速に拡大した場合に首相が「緊急事態宣言」を発令すれば、都道府県知事は、法的根拠を持って外出やイベント自粛などの要請、指示を出すことができる。特措法45条は、宣言が出た地域の知事に対し休業や外出自粛を要請、指示する権限を与えるが、政府の基本的対処方針は「国との協議」を前提としている。
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