NIBフロントライン

いそのボデー社長
磯野栄治氏
磯野栄治氏
【インタビュー】
 -自社の現状は。

 「当社は車体メーカーで、トラックボディーのほかクレーン、リフトなど付随装置の製作、設置、整備がメイン事業だ。『アイスキップドア』は独自ブランド商品を作ろうと、20年以上前に開発した。何度も失敗したが、今は北海道から九州まで全国展開している。この経験から、ものづくりは顧客目線が欠かせず、販売ターゲットを絞ることも大事だと学んだ」

 -求める人材は。

 「お客さまが悩んでいる問題点を理解し、顧客目線で解決策を提案できる人だ。価値ある商品やサービスを提供するため、自分の仕事がどうあるべきか常に考えなければならない。採用は熱量や積極性も重視する。それは面接時に表情や発言、態度から読み取る」

 -社会人にはどのような能力が必要か。

 「問題の解決能力と、問題点を社内外と的確に共有するためのコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力が重要。パソコンやスマートフォンで言えば、アプリを機能させるためにOS(基本ソフト)が欠かせない。仕事も同様で、専門スキルも必要だが、根底にあるOS、つまり先に挙げた三つの能力が必要だ」

 -その能力を身に付けるためには何が必要か。

 「知識を仕事に生かすには自分の頭で考え実践するしかない。仕事というのは、まず仮説を立て、現場を観察して正しいか間違っているか判断し、間違っていれば修正して違う仮説を立てる。業種の違いはあれど、基本的にはこの繰り返しだ。これがなければ能力は身に付かない」

 -人材育成方法は。

 「部門ごとの教育訓練や社内勉強サークルがあり、社員全員が幅広い分野のことを学んでいる。ボトムアップも大切。失敗しても良いから、下から上がってきた提案はまず自由にやらせる。一例として『チョコ案制度』がある。業務改善や顧客への価値提供に関わる提案を社員全員に月1回義務付け、発表してもらっている。問題解決能力やプレゼン能力が身に付く」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「米ハーバード大経営大学院教授だった故クレイトン・クリステンセン氏が唱えた『ジョブ理論』は仕事に重要だ。ジョブ理論は商品をただ売って終わることを戒めている。自社に置き換えると、顧客が当社のトラックに満足しているか確かめ、そうでなければ満足するような解決策を提案する。市場が縮小する中で、ジョブ理論は既存客のリピート率を高めるために欠かせない考えだ。読書は大切な学習の機会。著者の考えに思いを巡らせながら読むと勉強になる」

 ★磯野栄治氏(いその・えいじ) 日本大経済学部卒。1982(昭和57)年公認会計士試験に合格し、仙台市と山形市の監査法人に勤務。88年に家業の「いそのボデー」に総務部長として入り、専務を経て2002年に社長。山形市出身。68歳。

 ★いそのボデー 1927(昭和2)年創業とされ、64年に「磯野ボデー製作所」として株式会社化。80年に現社名になった。昨年1月、東京・青山に東京営業所を開設した。荷台のドアがリモコンで開く「アイスキップドア」は効率性の高さと、自動で施錠され盗難を防ぐ防犯性の高さが注目されてヒット商品となり、全国で普及が進む。資本金3630万円。従業員数は約100人。本社所在地は山形市西越25。

【私と新聞】社会の流れ知るツール
 新聞に関し、磯野栄治社長は「会社を経営するため、経営者は社会の流れを知らなければならない。新聞は社会の流れを知るために必要不可欠なツールだ」と語る。

 山形新聞は1面と経済面を欠かさず読み、常にアンテナを高くして経営のヒントを探る。「面白いビジネスの記事が載ることがあり、勉強になることが多い」と磯野社長。出社前に毎朝、経済紙、ビジネス産業紙を含め3紙に目を通す。

 ビジネスに生かすためにはただ漫然と読むだけではなく、突っ込んで活用することが重要と説く。その一例として自身が取り組んでいることに触れ「関心のある記事から自分なりの意見を考え、自分の中に蓄積していく。それが実践できれば新聞は仕事に大いに役立つ」と指摘する。

【週刊経済ワード】新型コロナの税制対応
 税務署での新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、2019年分の所得税や贈与税の確定申告受付期限が3月から4月16日へと延長された。国税庁はコロナで生活や事業の継続に影響が懸念される場合、国税の納付を原則として1年間、猶予する措置も講じた。総務省は、住民税など地方税の申告期限の延長を全国の自治体に要請した。
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