NIBフロントライン

アスク社長
河合克行氏
河合克行氏
【インタビュー】
 -業界の現状と力を入れている取り組みは。

 「米の消費量は毎年10万トンずつ減っている。新たな消費を促せないかと考え昨年、ユニークフーズ開発研究室を設立した。自然環境の保全や持続可能な農業の実現に向け、グローバルGAP(農業生産工程管理)を推進する運動も続けている。酒米事業も手掛けている。日本酒は生産量、消費量とも右肩下がり。良い原料を酒蔵に提供し、役割を果たしていく。主食用米事業では、首都圏を中心に2千軒の飲食店などに山形の米を届けている。疲弊する地域農業のために最後にできることは、農業生産法人の設立ではないかと考えている」

 -インドで「はえぬき」を本格栽培、販売する。

 「インドにとって米は命のように大切なものだ。先日来県した駐日インド大使とも面談した。インドの国民や生活、文化に寄り添い、ビジネスを展開していきたい」

 -求める人材は。

 「中途採用が多いが昨年は新卒2人を採用した。学部は関係ない。大事なのは向学心や挑戦心。『今直面したことを今判断し、今できる人』を育てたい。意欲さえあればいつでも学べる。知識を知恵として仕事に生かし、課題を解決できる人を期待している」

 -人材育成や組織力向上の取り組みは。

 「社員の知恵を磨くのは会社の役割だ。会社は月1万円を上限に社員の書籍購入費を助成している。マンガと週刊誌以外なら内容は問わない。繁忙期を除き朝に30分間、フリートークタイムを確保している。本や新聞を読んでも、隣の人と話をしてもいい、自分磨きと融和の時間だ」

 「仕事への温度差解消とコミュニケーションの活性化を目的に、席は毎朝くじ引きで決める。私もくじを引く。業務内容に関わらず全員にパソコンを支給し、全員が会社の業績を見られる。組織力を上げるため、元県農業試験場長ら専門家を招き指導を受けている」

 -仕事上、最も影響を受けた人物は。

 「四方山(よもやま)会の祭り仲間だ。若者に多くの刺激を受けている。準備から直会(なおらい)まで無報酬で取り組む力があり、皆がプラス思考だ。同じ目線の高さで一緒に話し合い、考え、一つのことを成し遂げるのが祭り。当社の経営決断と業務遂行の基本は、祭りの世界そのものと言える」

 ★河合克行氏(かわい・かつゆき) 日本大文理学部卒。1995年にアスクを創業。74(昭和49)年に民俗文化サークル「四方山(よもやま)会」を設立し、会長として花笠踊りや阿波踊り、餅つき踊りなどの披露や普及活動、県内外の小中学校での文化啓蒙活動に取り組む。元山形大非常勤講師。山形市出身。71歳。

 ★アスク 主食用米、酒米を扱うコメ専門商社として、1995年設立。2019年にASKユニークフーズ開発研究室を設け、発酵食品などの研究開発に取り組んでいる。18年にはインドに「アスクインディア」を設立し、現地で「はえぬき」の生産を本格的に始めた。資本金2千万円、従業員32人。埼玉県上尾市に関東営業所がある。本社所在地は山形市蔵王松ケ丘2の1の36。

【私と新聞】スクラップは宝物
 民俗文化サークル四方山会を設立し会長を務める河合克行社長。伝統芸能に光が当たる機会が少ない現状にあって、「山形新聞は地域の文化や携わる人たちの思いを丁寧に扱ってくれており、ありがたい。これからも期待している」と語る。

 会社で朝、本紙や全国紙、経済紙に目を通す。本紙では「ふるさとの文化財」や「やまがた再発見」を楽しみにしている。「日曜随想」も「山形に暮らす人の知恵や生きざまが伝わってくるので、見逃せない」。

 月曜の朝礼では、新聞などの気になった話題を紹介する。「世の中の出来事に対する社員との温度差を無くすため。そして私の行動の根拠を示すため」と説明する。記事のスクラップを長年続け「ページをめくると、自分が何を考えていたのかすぐに思い出す。宝物で、自分が書いた文章と同じくらい価値がある」と話す。

【週刊経済ワード】国民生活安定緊急措置法
 暮らしに身近な製品や経済的に重要な物資に関し、価格の高騰や供給不足を抑えるための政府の緊急措置を定めた法律。石油ショック時には法に基づき、一部の石油製品の価格を政府が決めることで混乱の沈静化を図った。新型コロナウイルス感染症の拡大でも、マスクメーカーなどから製品を買い取り、北海道に配布する際に適用した。
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