NIBフロントライン

東北パイオニア社長
渡辺光博氏
渡辺光博氏
【インタビュー】
 -業界、自社の現状は。

 「スピーカー、メカトロニクス、有機ELの開発設計から製造販売までを手掛ける。かつてのように、良い物さえ作っていれば売れる時代ではない。国内の人口が減少し市場が縮小する中で、国内外の市場をどのように開拓し、自らの手で売り上げを積み上げていくかが喫緊の課題だ」

 -現状を踏まえ、力を入れている取り組みは。

 「主力のスピーカー事業は最大の市場である北米をはじめ欧州、東南アジア諸国連合(ASEAN)、南米、中東と世界各地に展開している。地域特性に合わせてラインナップを変えたり、技術の粋、品質の良さを伝えられるよう販売施策の充実に取り組んだりしている。有機EL事業、ものづくりソリューション事業では、外部パートナーとも協業し、潜在ニーズの掘り起こしを図っている。当社が目指すものづくり力は心地よさや驚きなど、人に感動を提供できるものでなければならない。これまで以上に好奇心を持ち、斬新な発想力と確かな技術力がないと生み出せないと考えている」

 -求める人材と育成方法は。

 「求める人材像として3点を挙げたい。▽世の中の動きに目を向け、新しいことに挑戦する開拓者精神▽変化を恐れず何事にも前向きに取り組む外向き志向▽何事も自分事として考え、行動する当事者意識-だ。海外マーケット寄りの活動を踏まえ、英語力はあるに越したことはない。入社3年目以降の社員を対象にしたトレーニー制度があり、海外のパイオニア製品の販売会社で実務を通した2、3年の語学研修を行っている。この制度で20、30代の社員が米国に1人、ベルギーに1人駐在している。海外勤務で多様性を実感することで視野は確実に広がる。国内勤務でも、語学研修をする社員には費用を助成する仕組みがある」

 -自身が仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「当社元社長の石島聡一さん。有機EL事業を立ち上げる際、開発段階から事業化に向かう際の関門『死の谷』を乗り越えた勇気と情熱は大変なものだった。私も有機EL事業に10年以上携わったが、修羅場に際しては石島さんの熱い思いを胸に臨んだ。石島さんが米沢事業所敷地に植えた『有機の桜』を見るたびに、新規事業の成功にはやり抜く執念が肝要と思い起こさせてくれる」

 ★渡辺光博氏(わたなべ・みつひろ) 国学院大卒。1982(昭和57)年東北パイオニア入社。タイの現地法人社長、米沢事業所有機EL事業部長、執行役員米沢事業所長、取締役カーエレ事業統括部・品質保証部担当を経て1月から現職。山形市出身。60歳。

 ★東北パイオニア 1966(昭和41)年、パイオニアの出資によりスピーカー専門工場として設立。97年には世界で初めて有機ELの量産技術開発に成功した。タイ、中国など海外にも拠点を置く。従業員数は単体で485人、海外拠点を含めた連結で5252人。資本金108億円。本社所在地は天童市久野本字日光1105。

【私と新聞】一日の始まりのスイッチ
 本紙、経済紙、業界紙の3紙に目を通すのが渡辺社長の朝の日課だ。「一日の始まりのスイッチのようなもの」と表現する。社長に就任してからは各方面の人たちと会う機会が増え、地元ニュースをより興味深く読んでいるという。

 地元経済や地域行事、県内スポーツの欄にはしっかり目を通す。「まさか私が取材を受けるとは思ってもいなかった」というが、県内の経営者が思いを語る「NIBフロントライン」も楽しみな企画の一つ。

 高校時代は野球少年、今はゴルフに打ち込む。ゴルフ大会の記録で名前が載ることもあり、「それも励みに練習している」。高校野球シーズンになるとメンバー一覧などを掲載した別刷りを持参し、母校山形南高を応援している。

【週刊経済ワード】外国人労働者
 日本国内に居住して働く外国人。厚生労働省が人数を公表しており、昨年10月末時点では165万8804人だった。国籍別では全体の25%を占める中国が最も多く、ベトナム、フィリピンと続く。在留資格別では、永住者や日系人といった「身分に基づく資格」、「技能実習」、留学生アルバイトら「資格外活動」の順で多い。外国人を雇っている企業は、従業員100人未満が約8割を占める。
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