NIBフロントライン

高橋畜産食肉社長
高橋勝幸氏
高橋勝幸氏
【インタビュー】
 -業界の現状は。

 「東日本大震災の影響などもあり、子牛生産の担い手が少なくなり、子牛の価格が上昇している。和牛の国内相場はインバウンド(海外からの旅行)の増加や輸出の拡大、ふるさと納税制度の浸透などもあって高騰している。子牛価格が上がれば、最終的に小売店の店頭価格も高くなり、並べてもなかなか買ってもらえない。量販店などでは和牛離れが進み、売り場も狭くなっている。当社グループは繁殖から販売まで一貫して手掛けている。なんとかして和牛離れを食い止めたい。そして山形の生産者が頑張って作ったものを、県内、全国の皆さんに食べていただきたい」

 -力を入れている取り組みを教えてほしい。

 「直営牧場で山形牛、米沢牛、交雑種の自社ブランド牛・蔵王牛を生産している。昨年12月にオープンさせた次世代型スーパー『moh’z(モーズ)』にグローサラント(売り場にある食材を使うレストラン)を設けた。和牛をリーズナブルに試してもらい、和牛、山形牛のファンを増やしていきたい。アジアをターゲットに輸出を検討している」

 -求める人材、社員教育の考え方は。

 「グループで毎年、1人から4、5人を採用している。最近は牧場の人気が高い。期待するのは人間力だ。相手の立場で物事を考えられたり、思いやりがあったり、謙虚であったりといろいろな要素があるが、人間力は周りから『応援される力』ともいえるだろう。『変化にしなやかに新しいことに挑戦し続ける』などの6項目からなる『高橋畜産の志』や、『目指す会社像』を日頃から社員と共有している。一人一人の自主性と創造性を尊重し、優れている点を伸ばしたい。私が現場を回って一緒に仕事したり、一人ずつ面談したりして、相互理解を深めている」

 -仕事上、最も影響を受けた人物は。

 「14年間所属していた青年会議所で出会った先輩、後輩たちだ。高い志を持った経営者の皆さんから、苦言も含めてありがたい言葉を多く頂いた。成功の陰には血のにじむような地道な努力があることを教わった。わずかな空き時間を連絡や休憩に充てるなど、多忙を言い訳にしない人の上手な時間の使い方も見せてもらった」

 ★高橋勝幸氏(たかはし・かつゆき) 慶応大商学部卒業。1984(昭和59)年に伊藤ハム、85年に高橋畜産食肉に入社。90年に蔵王ファーム取締役、2005年に高橋畜産食肉社長、14年に蔵王高原牧場社長に就いた。日本食肉協会副会長、県食肉公正取引協議会長、県食肉生活衛生同業組合理事などを務める。中小企業診断士の資格を持つ。山形市出身。58歳。

 ★高橋畜産食肉 現会長の高橋勝氏が1948(昭和23)年山辺町で創業。翌年山形市小姓町に高橋牛肉店を開店し、66年に山形市青田に本社ビルを竣工(しゅんこう)・移転、71年に高橋畜産食肉を設立した。スーパー「元気市場たかはし」上町店(山形市上町4丁目)を運営するほか、昨年12月に同市元木1丁目に「moh’z(モーズ)」をオープンさせた。グループ企業の蔵王ファーム、蔵王高原牧場は山形・宮城両県で牛3千頭を肥育し、黒毛和種の山形牛と米沢牛、オリジナルブランドの交雑種・蔵王牛を出荷している。グループ全体の従業員は約200人。本社所在地は山形市青田1の1の44。

【私と新聞】山形の出来事を隅々まで
 仕事で毎日、多くの人と会う高橋勝幸社長は、朝に本紙と経済紙などに目を通す。「山形で何が起こっているか頭に入れておかないと恥をかくことがある」ため、特に本紙は隅々まで読んでいる。

 本紙の記事に署名が入るようになり「共感した記事があると、その記者が書いたものを探すようになった」。客観性と同時に、事象を切り取る記者の感性も重要と考えており「署名は良い取り組み」と話す。話題の人物や地域で活躍している人たちの考え方を知ることができる「この人」や「提言」にも注目している。

 会社はサッカーJ2・モンテディオ山形の正会員。シーズン中はスポーツ面も欠かさずチェックする。「会社全体でチームを応援している。今季はJ1昇格を成し遂げてほしい」とエールを送る。

【週刊経済ワード】サブスクリプション
 本来は予約や定期購読という意味。転じて消費者が製品・サービスを買い取るのではなく、一定期間利用できる「権利」に対して代金を支払う方式を指す。月単位などで定額料金を支払い、期間中は動画や音楽が視聴し放題になるものが人気。企業側にもリピーターの獲得で収益が安定する利点があるとされ、居酒屋やレストランなどのサービスも登場している。
[PR]