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寒河江測量設計事務所社長
安孫子文剛氏
安孫子文剛氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状、力を入れている取り組みは。

 「当社は建設コンサルタント、補償コンサルタント、測量業務などを行っている。道路、河川、橋といった社会インフラ建設で調査、計画、設計などの技術サービスを提供する。災害に強いまちづくりを進める上で重要な役割を担っている。2011年の東日本大震災では発生翌日未明から宮城県沿岸部支援のための道路状況調査を行った。自分は女川町を目指したが石巻市で足止めとなり、周辺には着の身着のままで車中泊する人がいた。国土の安全が緊急の課題だと感じ、仕事を通じて社会貢献したいと強く思った。今回の台風19号被害では宮城県で河川の堤防の測量を行っている。被災県の同業者は仕事量が非常に多い上に、自ら被災したケースもある。応援要請に応えられるよう業務を調整している。今後も、災害に対応できる態勢を整えていきたい」

 「また現在は人材不足対策のため生産性向上と情報通信技術(ICT)活用を進めている。当社は業界でも早い13年にドローンを導入して空撮し、測量に活用している。17年にはレーザースキャナーを備えたドローンを配備した。スキャナーは樹木があっても誤差が少ない地表測量ができる。当社では山形森林調査協会の事務局を担っている。本県を含め東北は森林が多いが荒廃地も多い。森林保全と林業経営支援のため、調査などを通して地域貢献したい」

 -求めるのはどのような人材か。

 「新しいことに興味を持って、人の役に立ちたいという気持ちがあることが大前提。特に技術者として改善を心掛け、成長のロードマップを持つ人材を求めたい。仕事では教科書以上を求められることも多く、貪欲さや探究心がほしい。地域の人々とのコミュニケーションも大切だ。業界では技術者の高齢化を受け若手の成長や女性の活躍など多様性が求められる。ワークライフバランスの確保などに力を入れ、持てる人材を生かせるようにしていきたい」

 -仕事上で影響を受けた人物は誰か。

 「父で会長の正芳だ。父は長く柔道に取り組み、子どもの頃から厳しく育ててもらった。当時は反発もしたが、経営者になると厳しさが理解できた。判断力や物事を見極める力につながった。さらに青年会議所などで多くの人と関わり、多様な価値観に触れて自らの芯ができた。また初代である祖父の時代から『和』を大切にしてきた。社員や家族も含め、皆の笑顔が絶えない会社にしていきたい」

 ★安孫子文剛氏(あびこ・ふみたか) 寒河江高、東北芸術工科大卒。2002年に入社し事業部長、取締役、副社長を経て今年4月から現職。17年に第50代寒河江青年会議所理事長も務めた。寒河江市出身。41歳。

 ★寒河江測量設計事務所 1966(昭和41)年に文剛社長の祖父三郎氏が測量と設計業務で創業。公共事業を中心に受注して事業を拡大、用地補償の際の土地や建物調査などを行う補償コンサルタントにも力を入れる。資本金3千万円、従業員数58人。本社所在地は寒河江市西根長面153-1。山形市、天童市、仙台市、福島市、千葉市に支店と営業所がある。

【私と新聞】知人の活躍がうれしい
 会社に来て山形新聞に目を通すという安孫子文剛社長。国の政策や閣議決定、行政の方針などの情報をしっかり把握するよう心掛けている。社内の朝礼でこうした内容を伝えることもある。「国土強靱(きょうじん)化を進めるよう訴える直言などは、多くの人に考えてほしい内容だ」と話す。

 最も好きだと話すのは地域版のページ。「地域の活動や社会貢献の記事で、知り合いが載っていると自分のことのようにうれしい」と表情を緩める。趣味の写真撮影に生かすため、本紙の写真から構図などを勉強することもあると話す。

 一方で近年指摘される活字離れを心配しており、「小さい頃から子どもが読めるコーナーを、別冊以外に本紙の中にも入れてはどうか」と提案する。「そうすれば新聞を開くことにつながるのでは」と話した。

【週刊経済ワード】国外財産調書制度
 国外に保有する預金や不動産などの財産が5千万円を超える国内居住者に、財産の種類や金額などを記載した書類を作成し、税務署への提出を義務付ける制度。2014年1月に施行された。偽りの内容を記載して提出したり、正当な理由がなく提出しなかったりした場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科されることがある。
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