NIBフロントライン

小松写真印刷社長
村上慈氏
村上慈氏
【インタビュー】
 -業界の現状をどのように分析し、どう対応していくか。

 「印刷業界の国内市場は2017年までの10年間で、製造品出荷額が27%、事業所数が35%減少した。非常に厳しい環境だが、当社は規模で全国の上位3%に入る。やりようによってはチャンスがある会社だ。人とあらゆるものをつなぎ幸福に寄与する印刷を企業理念に、雑誌の編集・出版で出会った著名人を酒田に招く文化講演会も長く開催してきた。印刷を通じて地域に貢献する原点をあらためて認識しなければならない。その上で時代の新機軸を打ち出すことも重要。社長に就任し、初年度の方針として『現状に満足せず、新しいことにチャレンジし続ける』を掲げた」

 -具体的な取り組みは。

 「紙媒体の印刷と、イベント・ウェブ媒体の企画提案・運営、ペットボトルラベルや菓子袋などに使われる軟包材に水性インキで印刷するフレキソ印刷が事業の3本柱だ。イベントには多くの企業が関わるため人脈を飛躍的に広げられ、築いた信頼が印刷の仕事につながる。期待を超える企画提案で仕事を創造していく。新規事業のフレキソ印刷は環境に優しい印刷手法で、2年前に東北・北海道で初めて専用機を導入した。欧米ではかなり普及している。来年の東京五輪を控え国内でも、環境に配慮したパッケージに企業の関心が高まっており、需要が伸びている。市場全体が縮小する中、この事業を拡大させ、生き残りを図る」

 -どんな人材を求め、どう育成するか。

 「変化が加速する時代の中で、変化を楽しめ、挑戦する人を求める。自ら学ぶ姿勢を身に付けなければ人は成長しない。仕事は与えられるものではなく自分で創るものだ。営業力強化のため今春からコンサルタントを現場に入れ、個々人が力を伸ばしている。勝負は人で決まる。人材育成に積極的に投資したい」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「7年勤務した富士フイルムグローバルグラフィックシステムズの先輩たち。徹底して考えることの大切さ、攻めの営業、突破力を学んだ。尊敬するのは3代目社長だった祖父佐藤孝。この人に付いていきたいと慕われたと聞く。近づけるよう、人間性を磨きたい」

 ★村上慈氏(むらかみ・めぐみ) 明治学院大法学部卒。富士フイルムグローバルグラフィックシステムズで約7年、営業職として勤務。2017年、小松写真印刷に入社。18年8月に専務、19年8月に5代目社長に就任した。水性フレキソ促進協議会理事。酒田市出身。32歳。

 ★小松写真印刷 1902(明治35)年創業。48(昭和23)年に株式会社化。印刷、製本、出版のほかイベントの企画運営、映像・ホームページ制作などを手掛ける。東京都や仙台市にも営業拠点を持つ。資本金5千万円。従業員数145人。酒田京田西工業団地に2017年、新工場を稼働。本社は酒田市京田2の59の3。

【私と新聞】フロントライン、毎回勉強
 「山形新聞は地域の情報が豊富で、営業活動に不可欠なツールだ」と語る村上慈社長。何が仕事につながるか分からないため「顧客企業の記事はもちろん、子どもの地域活動の記事までじっくり目を通す」とし、社の朝礼でも新聞から得た話題を取り上げている。

 全国的なニュースはインターネットやテレビで入手できるが、地域の記事は少ないと指摘する。「新聞がネットに押される時代というが、地方紙だからこそ、生き残れるのではないか」と話し、これからも地元の話題が充実した紙面を続けてほしいと要望する。

 最も好きなコーナーがNIBフロントライン。「各界を代表する経済人の考えを知ることができ、毎回勉強させていただいている」


【週刊経済ワード】食品ロス
 本来は食べられるのに廃棄される食品。農林水産省の推計によると2016年度に約643万トン発生した。食品関連事業者からの発生量が家庭から出される量を上回っており、削減に向けて事業者の取り組みが重要視されている。食品メーカーや流通企業が需要を見誤って生産や発注をしすぎるケースが多い。消費者の過剰な鮮度志向も発生の背景にあると言われる。
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