NIBフロントライン

片桐製作所社長
片桐鉄哉氏
片桐鉄哉氏
【インタビュー】
 -自社の現状は。

 「かつてはミシン部品、音響部品の製造を手掛け、今は冷間鍛造技術を用い工程解析から金型設計、2次加工までを担い、自動車部品が主力だ。金型や加工具を自作する点が特徴で、工場で使う必要に迫られ作り始めた。精密研削砥石(といし)の自社製品『STRAX(シュトラックス)』、超硬合金新素材など付加価値の高い製品を開発し、販売している。経営理念は『社員の幸福と企業の繁栄が一致し、地域社会から存在価値を認められる経営を目指す』だ。お客さま第一、社員の資質向上と幸福づくり、地域社会への貢献を社是としている」

 -社員に求める意識や能力、資質は。

 「製品は品質、コスト、納期が大切だ。機械化が進んでいるが、操作するのは人。自動車は人が命を預ける乗り物で、部品製造は常に品質向上の意識が必要。品質を維持する基本が5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)だ。入社前に専門知識は必要ない。誰とでも話せるコミュニケーション力、何事にも感謝し相手の立場に立って考えられる性格、さらに向上心、目的意識があればいい」

 -社会に出る前に身に付けてもらいたいことは。

 「あいさつと返事、後始末の習慣だ。あいさつと返事はコミュニケーションのきっかけで、後始末は何かが終わったからするのではなく、次の仕事の準備だ」

 -人材育成、能力向上の取り組みは。

 「社長も課長も臨時社員も全員参加で、原価低減活動に取り組んでいる。社員全員が同じ目線で同じ問題に取り組むことで、職場のコミュニケーション力が上がり、まとまりが出る。良い製品はきれいな職場からしか生まれない。掃除するとさまざまな不具合が見え、問題点を改善できる。そうすると改善の考え方、やり方が身に付き、社員、会社のレベルが向上する」

 -委員会制度がある。

 「改善提案、社内報、社内美化、安全衛生の4委員会がある。業務に関係なく社員を指名し活動してもらう。委員長は管理職候補だし、委員は自分にできることを考え行動する。社員の資質向上に役立っている。『百聞は一見にしかず 百見は一験にしかず』だ」

 -仕事で最も影響を受けた人物は。

 「ホンダ創業者の本田宗一郎氏。物事に向かうエネルギーにあふれ、実現するため周りの人を巻き込む力があり、町工場から始まったホンダを世界的企業にした。感受性が鋭く、物事の本質をつかむ能力に優れていたと思う」

 ★片桐鉄哉氏(かたぎり・てつや) 日本大工学部卒。東京の部品メーカーを経て、1987(昭和62)年に経営企画室長として片桐製作所入社。取締役業務部長、常務を経て98年から現職。上山市出身。64歳。

 ★片桐製作所 1947(昭和22)年創業。66年に常温の金属素材を金型にはめ込み圧力をかけて成型する「冷間鍛造技術」を東北で初めて確立した。資本金7千万円。社員数は約230人。本社は上山市金谷字鼠谷地1453。山形市蔵王松ケ丘2丁目の蔵王産業団地に山形事業所、東京・両国に東京駐在所がある。

【私と新聞】地域紙ならではの記事が楽しみ
 新聞について、片桐鉄哉社長は「広げると多くの記事が目に入り、見出しだけを読んでも何が書いてあるか分かる。一覧性が新聞の一番の特長だ」と語る。インターネットニュースに関しては「必要な情報だけを取るときには有効だが、顕微鏡をのぞくようなもの。小さな範囲しか見えない」と指摘する。

 片桐社長は出社後、他の社員が出社する前に山形新聞や業界紙、経済紙に目を通す。「山形新聞は地域密着の情報が多く、地域紙ならではの記事が楽しみ」。仕事柄、自動車関係の記事に目が留まるといい、最近は「米中貿易摩擦の影響で世界経済や中国経済が減退気味だ。今後どうなるか気にして見ている」と話す。

【週刊経済ワード】消費税増税後の景気
 幅広い商品やサービスに一律に課される消費税の引き上げは、消費者の購買意欲を冷やし、景気に逆風となる。バブル期の1989年4月に税率3%で導入した際は、駆け込み需要の反動減から短期間で回復したが、97年4月の5%への引き上げ後は金融不安やアジア通貨危機も重なり、景気が失速した。2014年4月の8%への増税後は消費が長期間低迷し、安倍晋三首相は10%への引き上げを2度延期した。
[PR]