NIBフロントライン

マイセルフ社長
松園秀樹氏
松園秀樹氏
【インタビュー】
 -人材派遣業界の現状は。

 「ここ数年は好況もあり、業界自体は追い風だった。われわれが主要得意先としている製造業だけではなく、サービス業やエンジニアなど、どの業種でも人手不足が続いている。働き方改革の一環で、派遣労働者の同一労働同一賃金が来年施行される。人材ビジネス会社は、派遣だけでなく職業紹介、採用代行、業務請負など、ビジネスモデルの変化が求められてくる」

 「採用難の時代であるからこそ工夫が必要だ。共働き率が全国でも高い本県。だからこそ主婦らが活躍する環境をつくるための保育園の運営、少子高齢化の進展と労働人口の減少への対策としての外国人雇用の拡大、60歳以上の年配者の短期就業、福利厚生の充実を図るために社員割引を行う飲食店の運営など、同業他社と差別化を図ることで顧客にも働き手にも他にはない独自のサービスを展開している」

 -会社が求める人材と育成方法は。

 「いきなり成果を出すような即戦力がくればベストだが、そこだけを求めてはいない。前向きで素直な人、発想力のある人。言われたことをこなしてくれることの他に、型にはまらずに個性を発揮してほしい。自分の仕事にやりがいや誇りを持ち、それを周りに発信してくれるような人材を求めている」

 「率先垂範-。ただ口で言っても人は動かない。まずは見本となる行動を示し、一緒に考える時間を多く持つ。社員と会話をする機会を増やし、分かりやすく伝え、意見を聞くことを心掛けている。本音を聞き出す質問力や相手の話を理解するヒアリング能力を高めている」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「社長に就任してから、経営に携わるようになったが、日本航空の会長に就任して経営再建に当たった稲盛和夫氏の著書や考え方に大きな影響を受けている。高校時代のラグビー部顧問からは『最後まであきらめないこと』『努力は報われること』『初めから100%全力で挑むこと』を教えてもらった。100怒られたが1褒めてもくれた。それがうれしかった。きつい練習に耐えることで忍耐力や精神面を含めた人間形成をする上で大きな3年間だった」

【私と新聞】情報が判断につながる
 社会人1年目の際、社長から「給与の1割は仕事のために投資しなさい。投資した分は後から必ず返ってくる」という言葉を聞いてから、常時新聞を購読していると語る松園社長。山形に来て3年たつが、山形新聞、経済紙と業界紙を読んでいる。

 山形新聞については経済面や総合面、地域版を中心に愛読しており「情報の差が判断力や発想力につながる」と考えているという。山形出身でないこともあり、山形の情報を得るためには山形新聞を読むことが一番の情報源。「情報が入る。話題が広がる。地域の特色がよく分かる。山形になじみがない分、人口減の歯止め、県内への仕事や人の受け入れなど違ったアイデアで貢献できれば」と語る。

 ★松園秀樹氏(まつぞの・ひでき) 駒沢大経営学部卒業後、大手人材ビジネス会社に勤務。2013年にマイセルフに入社。16年から代表取締役社長。18年からは三浦エンジニアリング(長井市)代表も兼任。茨城県龍ケ崎市出身。43歳。

 ★マイセルフ 2008年、米沢市に設立。製造業を中心に介護、サービス業の人材派遣に力を入れる。外国人労働者を支援する登録支援機関としても活躍。不動産、保険、飲食、保育など生活に関わる事業の運営も行う。資本金は1千万円で従業員数は63人。派遣社員は約800人。グループ会社に製造工場の三浦エンジニアリング、経理受託のJust be myself(東根市)、外国人紹介・農作物支援販売の協同組合ボンズ。本社所在地は東根市中央2の12の7。

【週刊経済ワード】増税時のポイント還元
 中小事業者での買い物やサービス利用の代金を現金以外(キャッシュレス)で支払うと国費の支援により、原則5%分のポイントを提供する。消費税率が10%に上がる10月から来年6月まで9カ月間の実施を想定している。中小でも大手コンビニや外食チェーン系列店の還元率は2%となる。ポイント還元の加盟店としての登録申請数は7月30日時点で約24万店。
[PR]