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六歌仙社長
松岡茂和氏
松岡茂和氏
【インタビュー】
 -酒造業界の現状は。

 「国内の消費量が低迷する中、消費者は量より質を求めているようだ。本県は個性豊かな日本酒を生み出しており、2016年12月、地理的表示(GI)保護制度で国税庁から県産清酒『山形』の指定を受けた。本県酒造業界は海外への販路拡大に取り組み、当社も20年前から売り込みを図っている。今後も足並みをそろえ『高品質な酒を造る山形』をもっとアピールすることが重要だ。地域振興の有力な武器として期待され、輸出拡大、インバウンド(海外からの旅行)促進に大きなアドバンテージとなる。もちろん高品質な酒を造り続けるためには、次世代を担う人材の育成も欠かせない」

 -会社が求める人材と育成方法は。

 「明るく元気で、コミュニケーション能力が必須。社員には製造から販売まで、全てのセクションに関わってもらい、常に目標を持ち『出る杭(くい)は伸ばそう』とお願いしている。進取の気性に富んだ人になってほしいからだ。社員がアイデアを出し合い取り組んでいる恒例のイベント『蔵参観』はその一つ。雪の中で熟成させた日本酒の掘り出し体験や大試飲会、限定酒販売、フードコートなど多彩な催しを企画している。見学客との触れ合いを通して日本酒の魅力を広く発信し、ファンの開拓に努めている。目指しているのは『六歌仙、元気だね』『六歌仙、また面白いことやっているね』と多くの人から良い評価を得ること。こうした会社の取り組みを理解し、広く愛される会社にしたいと前向きに捉え、チャレンジ精神を発揮してくれる人材を求めている。私自身も相談を受けたときにアドバイスをするよう心掛けている」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「小学校の恩師である故工藤愛子先生からは大きな刺激を受けた。常に『やってやれないことはない やらずにできるわけがない』という言葉を取り上げ、挑戦する姿勢の大切さを教えてくれた。今でもこの言葉は心に刻んでいる。もう一人は入社前の研修でお世話になった宝酒造の村田謙二社長。人間味にあふれる素晴らしい人だった。優しくフォローアップしてくれて、観察・洞察力は並外れていた。営業手法、人に対するイノベーションの必要性など幅広い知識を教わり、自分なりのモノの考え方が身に付いた。感謝し尊敬している」

 ★松岡茂和氏(まつおか・しげかず) 東京農業大醸造学科卒業後、宝酒造(京都市)で2年間研修。1996年に六歌仙に入社し2011年から現職。村山市出身。48歳。

 ★六歌仙 1972(昭和47)年に北村山3市1町(村山、東根、尾花沢、大石田)の五つの酒蔵が合併し、山形銘醸株式会社を設立。92年、六歌仙に社名変更。主力銘柄は「六歌仙」のほか「山法師」「手間暇」などがある。国内外の各種品評会、コンテストの入賞歴は数多い。資本金2600万円、社員数14人。村山市楯岡新町3丁目にも醸造部門を担う六歌仙酒造協業組合がある。本社所在地は東根市温泉町3の17の7。

【私と新聞】コミュニケーションに生かす
 「地方紙には地域のきめ細かな情報がいっぱい詰まっている。これをどうコミュニケーションのツールに使うかが大切」と語る松岡茂和社長。普段はありとあらゆる新聞から、さまざまな分野の記事に目を通し情報収集している。時間が無いときは見出しだけを見て、気になる記事はしっかり読むという。

 山形新聞は長く愛読しており、「どこにどんな記事が載っているか、紙面構成は全て把握している」というほどレイアウトはなじみ深い。仕事をする上で地元の話題や業界の動向、顧客や取引先の記事は貴重なネタだ。先行きを読む情報源として欠かせない。商談時、掲載記事の話題がきっかけで仕事に結び付くこともあり、「山形新聞は多くの人に読まれている」と語る。また「文字が大きく、段と段の間(段間)が広がり、さらに見やすくなった。今後も身近な話題を提供してほしい」と期待を寄せる。

【週刊経済ワード】コンビニの24時間営業問題
 大阪府でセブン-イレブンの店舗を運営するフランチャイズ加盟店オーナーが人手不足を理由に自主的に営業時間を短縮したことを契機に、時間見直しの機運が高まった。コンビニオーナー団体も営業時間を選択できるよう改善を求めている。セブン-イレブンは直営店舗で営業時間を短縮する実験を開始。ファミリーマートは2017年から数店舗で実験を実施している。ローソンは店舗ごとの事情を聴き、時間短縮を認めている。
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