スポーツ界で活躍する生徒や医師を目指す生徒など、さまざまな生徒が集い、部活でも学業でも多様性に満ちた選択が可能な東海大学山形高校。中でも部活動の一つ・科学部と、総合学習コースの学校設定教科「人間力探究科」の選択科目「自然」の授業ではSDGsに関連付けた研究などが行われています。
さまざまなコースの生徒が集まる科学部。美容の道に進みたいという生徒が1回のシャワーでの水道水使用量を分析する傍ら、看護師を目指す生徒らが老若男女おいしく食べられる栄養豊富な黒にんにくの作り方を試行錯誤し、医学部への進学を志す生徒らが人間の記憶力について探究するなど、それぞれの興味に沿って多種多様なテーマで取り組んでいます。中でも、両親が蔵王で旅館を営む堀敦弥さん(1年)は、泉質の調査を小学生の頃から続けている好学の士。現在は「プラナリアと温泉の効能」について研究しています。「関心があるのはiPS細胞の活用や蔵王温泉の集客など。成果を出して多くの人の役に立ちたい」と目標を口にします。部長の松本眞之介さん(3年)は「身の回りの疑問を多面的に分析解決し、未来に生かしたい」。多様性が認められる環境の中、身近な興味から未来を変える何かが生まれるのかもしれません。
選択教科である「自然」の2年次の授業は学外の講師による体験活動がメイン。山の斜面で草刈りをしたり、牧場に出掛け搾乳しバターを作ってみるなど、フィールドに飛び出し、体を動かしながら、教室で得られない経験を積んでいます。
こうした活動を通じ、金子幸誠さんは「草刈り機の操作が大変だった。将来は地球温暖化を抑制する森林官になりたい」と進路を見据え、柴田愛果さんは「かわいい牛が普段口にしているお肉になると知り、食のありがたみを感じた」とフードロスを 考えるきっかけになったと話します。今後は森林保護活動を小学生に教えたり食肉加工の工場見学も予定。授業を通じて、環境や社会の課題を自分事として捉える力が生徒たちに着実に養われています。