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新年へ煩悩を振り払う~村山

(2011/12/28掲載)

除夜の鐘に着想、蓮化寺へ

樹齢約240年のモミの木で作られたという延命地蔵菩薩。ずきんのほこりを払ってかぶせる
樹齢約240年のモミの木で作られたという延命地蔵菩薩。ずきんのほこりを払ってかぶせる
 「おいしいものが食べたい」「寝たい」「携帯電話の電源を切って(重要)旅に出たい」。煩悩まみれで日々を過ごすものの、そろそろ1年も終わる。もんもんとした思いを振り払い、新年をすがすがしく迎えたいと思った。

 煩悩をはらうといえば除夜の鐘↓お寺という安易な発想から、村山市名取にある浄土宗蓮化寺(れんけいじ)の遠藤吉男住職(68)に相談。「すす払いや写経でもしてみましょう。そうすればおのずと答えが出てくるかもしれません」と返事をもらった。毎年、同市の最上徳内記念館を会場に遠藤順迷(じゅんめい)名義で名作文芸の語り「地獄のファンタジー」を行っている人だ。

 さっそく寺へ向かい、すっかり雪に覆われた境内を白い息をはきながら歩く。遠藤住職と次男の副住職倫広(ともひろ)さん(34)が雪はきをしていた。作務衣(さむえ)を借り2人と一緒に除雪や本尊などのすす払いなどをこなした後、木魚をたたきながら念仏を唱えた。そうしているうちに自然と気持ちが晴れ晴れとしていく気がした。

 引き続き浄土宗開祖、法然上人の遺言ともいえる、亡くなる2日前に弟子に書かせた「一枚起請文(いちまいきしょうもん)」を写す。起請文の内容は簡潔にいえば「念仏に理屈はいらない。“阿弥陀(あみだ)さまお助けください”という願いの中で一心に念仏すること。それ以外の余計なことはいらない」という意味だという。

行為と心の一致学ぶ

遠藤吉男住職に見守られながら「一枚起請文」を写す。手はぷるぷる=村山市・蓮化寺
遠藤吉男住職に見守られながら「一枚起請文」を写す。手はぷるぷる=村山市・蓮化寺
 筆で書くのは小学校以来。墨をしっかりとつけ、緊張しながら紙からすかして見える手本の文字を写す。最初は「うまく書こう」と見えがあったが、書いているうちにだんだんと夢中になっていく。遠藤住職に見守られながら1時間かけて完成させた。

 うーん。すかしながらなぞるように書いたはず…だが、文字がゆがんだり震えている。「写経は慣れもあるけれど、心が定まっていないと文字がぶれます」と遠藤住職。「住職でもぶれることがあるんですか」と聞くと、「戒名を書くときなどどうしても書けないときがある。そんなときは何度も何度も書いて、心が定まるまで続けますよ」。

 大抵の物事を投げ出しがちな記者に、住職の言葉は重く感じた。しかし、同時に煩悩というのは雑念があるから起きる。「すぐに物事を投げ出さず、写経のように仕事でも何でも夢中になるまで、まずはやってみることが大事なのですね」と言うと、遠藤住職は「行為と心が一致するまで、夢中になって励めば良いのです」。仏様のような柔和な顔でほほえみうなずいた。

(村山支社・吉見勇希)

【メモ】蓮化寺 1332(正慶元)年に登阿香雲大和尚(とあこううんだいかしょう)が現村山市大淀に開山。1450(宝徳2)年火災に遭い、同年2代目楯岡城主の河内守満正の庇護(ひご)を得て、現在地に移転した。1618(元和4)年には八代目楯岡城主多田甲斐守光直から、楯岡城の裏門と御内仏(阿弥陀(あみだ)如来座像)を寄進され、それぞれ現在の山門と本尊になっている。
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