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「ブランド豚」を味わう~酒田

(2011/08/17掲載)

ベーコン作り、夜を満喫

ブランド豚のブロックが大きな鍋からはみ出そう。一度、蒸し焼きにした後に薫製する=酒田市・大浜海岸
ブランド豚のブロックが大きな鍋からはみ出そう。一度、蒸し焼きにした後に薫製する=酒田市・大浜海岸
 夏と言えば海、そしてバーベキューと相場は決まっている。庄内を代表する食材には、イワガキをはじめとする新鮮な魚介類があるが、里山で生まれ育った生い立ちから貝類は体が受け付けない。庄内が誇るもう一つの食材「ブランド豚」で、たらふく夏の夜を満喫してみた。

 米沢に勤務していた頃、「米沢牛をビーフジャーキーにする」と話したら、肉屋の店員さんに「とんでもない」と怒られた。そのことがトラウマ(心的外傷)となっている。ブランド豚でベーコンを手作りしたいのだが、また怒られないだろうか? 念のためにお断りと思い、全国的に著名なブランド豚「三元豚」「金華豚」を手掛ける平田牧場(酒田市)の新田嘉七社長に尋ねると、「衛生面に十分気を付けて」の返事。早速、市内の直営店で「こめ育ち平牧三元豚」のブロック肉を購入した。

大浜海岸に調理道具セット

 ベーコンは塩漬けした豚ばら肉を薫製にしたもの。ぜいたくにも海藻のホンダワラを使って製塩した「藻(も)塩」と黒コショウをたっぷりすり込み、冷蔵庫で4~5日間熟成し、ダッチオーブン(鋳鉄製の鍋)に入れて薫製にするプランを練った。バーベキュー気分も味わいたかったので、市内の大浜海岸を会場にしたのだが、午後7時半の着手とあってとっぷりと日は沈み、周囲は既に真っ暗。若者たちが浜辺で花火を楽しむ姿を横目に見て、調理道具をセットした。

 ランタンとヘッドライトの明かりの下、鍋でブロックの肉を蒸し焼きにする。見知らぬ若者が、近くでギターを弾きながらラブソングを歌っている。気分は上々だ。問題と言えば、炭起こしを託した後輩記者の作業が遅々として進まないぐらい。その間にレタスやパプリカを刻んでサラダを作り、薫製香味のしょうゆとあごだしを手早く混ぜてドレッシングに仕上げた。

見よ! このおいしそうな切り口を
見よ! このおいしそうな切り口を
 たき火台の炭にようやく赤々と火が回る頃、もう一つの鍋で焼いていた焼き豚も食べ頃に。切った断面から脂がジュッと湧きだし食欲を誘う。ほお張ると脂に甘みが感じられた。「うむ、さすが三元豚」。薄く切った肉をドレッシングに浸し、炭火であぶるとひときわ美味になった。

 沖合でイカ釣り船のいさり火が輝く頃、いよいよ主役の登場。サクラの木のチップでいぶしていた豚ばら肉の表面があめ色になっていて、塩加減も申し分ない。ブランド豚の底力と、“魔法の鍋”といわれるダッチオーブンのパワーを思い知らされた。

 夜もふけ、花火を楽しんでいた若者たちも帰り、浜辺に静寂が戻ってきた。押し寄せる波の音と、誰かが奏でるギターの音色だけが聞こえてくる。ノンアルコールビールでの宴もそろそろ限界。本物のビールが恋しくなった。手早く撤収作業を終え、完成したベーコンを土産にして、冷えたビールの待つわが家に戻った。

(酒田支社・佐藤正則)

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