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太陽熱調理器を試す~月山

(2011/06/14掲載)

缶に雪詰めコーヒーに!?

太陽光が降り注ぐのをじっと待った。風よけの役目も果たしている
太陽光が降り注ぐのをじっと待った。風よけの役目も果たしている
 太陽の力で調理するソーラークッカー(太陽熱調理器)。インド北部の高地にある村では、冬場に雪を解かして飲料水や洗濯用の水を確保するのに使うという。自然エネルギーが注目される昨今。エコロジーは実践してこそ意味があると、挑戦を試みた。

 とはいえ、さすがにインドは行けない。そこで夏スキー真っ盛りの西川町の月山スキー場で決行することに。月山の雪をソーラークッカーで温め、コーヒーやみそ汁にして飲み干す-という計画を考えた。水道、ガス、電気代も掛からないエコクッキングだ。

 まずは手作りもできるソーラークッカーの制作方法をインターネットで検索。段ボールや傘を利用した物などたくさん紹介されていた。その中で材料がアルミシート1枚、350ミリリットル入りの空き缶1個、2リットル入りのペットボトルの空き容器1個というものを発見。「どうせなら材料も1番エコに」とこれに決定。アルミシートで光を集めて空き缶の中の液体を温める構造だ。

 早速、自宅で工作。太陽の光を一カ所に集められるようアルミシートを切り張りして囲いのようにし、光を吸収しやすくするため空き缶を黒の水性ペンで塗りつぶす。最後は熱が逃げないよう半分に切ったペットボトルを空き缶にかぶせれば完成だ。所要時間は10分。完成日は曇り空だったため、はやる気持ちを抑えてその時を待った。

 翌日、少々雲はあるが快晴。太陽の光が降り注ぐ中、正午に合わせて意気揚々と月山に車を走らせた。だが、順調だったのはここまで。山の天気は不安定。青空は見えるが、太陽は厚い雲の隙間から見え隠れ。気温は17度ほど。風も強く肌寒い。「これで大丈夫か」。不安を感じながらもとりあえず姥沢駐車場に車を止めて近くの雪山で準備を始めた。

 きれいな雪を探し出し、空き缶に詰めてソーラークッカーにセッティング。しかし、待てど暮らせど太陽は“恥ずかしがり屋”のまま。願いを込めて見詰めると、目が痛くなった。3時間ほど待ったが、成果は雪が解けただけ。水温は1度弱。間違いなくコーヒー粉もみそも溶けない。ホーホケキョ…。ウグイスの鳴き声がむなしさに拍車を掛けた。「せめて記念に…」と雪解け水は持ち帰り、自分の計画の甘さを痛感しながら帰途に就いた。

自然のパワー実感

西日を受けて威力を発揮するソーラークッカー=山形市・馬見ケ崎川河川敷
西日を受けて威力を発揮するソーラークッカー=山形市・馬見ケ崎川河川敷
 下山すると、太陽が照り付け始めた。「何でいまさら」と恨めしく思い、悔しさが込み上げる。あきらめきれずに山形市の馬見ケ崎川の河川敷で再挑戦することに。周囲の家族連れから奇異の目で見られながらも芝生の上にセッティング。すると、西日を受けたソーラークッカーが威力を発揮。ペットボトルの内側が見る見るうちに曇り始め、約30分で水温は45度近くまで上昇した。その後は日差しが陰り温まらなかったが、自然エネルギーの力を実感することができた。

 帰宅後、アルミ缶に入った100ミリリットルほどの雪解け水は妻に内緒でそっと冷凍庫にしまい、夏場の再チャレンジを心に誓った。

(報道部・近岡国史)

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