社説

小国・豪雨で一時孤立 高規格道路全線開通を

 先月3日からの豪雨は、置賜地方を中心に甚大な被害をもたらした。とりわけ県境の小国町は一時孤立した。町の孤立は1967(昭和42)年の羽越水害以来だが、降雨量を見ると「場所によっては羽越水害を超えた」と担当者。地球温暖化を背景に水害は今後も多発化するとの指摘もあり、町は最悪の事態を防ぐための対策強化に取り組んでほしい。

 今回は町北部を中心に豪雨が降った。中心部の同町小国の降雨量は281.5ミリで過去最多となり、北部の徳網では633ミリを観測した。羽越水害の際は532ミリとされているが、一部ではそれ以上降ったことになる。

 町は先月3日夕に災害対策連絡本部を設置し、北部を中心に避難所を開設した。しかし、荒川では北部・五味沢で氾濫危険水位の1.70メートルを超える1.93メートルに、小渡では同水位5メートルの2倍を超える10.01メートルまで上昇し、それ以降は計測できなくなった。

 その結果、北部では樋倉、徳網、さらに南部の小玉川など計16地区が孤立した。また同日夕には、町唯一の大動脈である国道113号が飯豊町手ノ子で路面の一部が崩落し、新潟県側でも寸断された。JR米坂線も飯豊町の小白川に架かる鉄橋が崩落し、町は55年ぶりに「陸の孤島」となった。

 孤立により物流はストップし、食料品などの生活必需品は手に入らなくなった。スーパーやコンビニのレジには町民が列を作った。町内大手で半導体向けの部材などを製造しているクアーズテック小国事業所では、帰宅できなくなる従業員らが出た。

 町内には週3回、近隣市町の病院に通う透析患者が20人いる。このうち12人が翌日の先月4日、通院予定だったため、町は通行可能だった主要地方道川西小国線(九才峠)経由で11人を向かわせたが、新潟県側に向かう1人が通院できず、後日の透析となった。また出産間近の女性が1人いたため、町がヘリの出動要請を検討する一幕もあった。

 町によると、雨は4日午前0時過ぎがピークだったため、国道113号は新潟県側で1日近くたった4日夕、飯豊町では2日後の5日深夜にそれぞれ片側通行となり、陸路の孤立は解消された。

 小国町は、113号だけでは災害時に孤立するとし、地域高規格道路「新潟山形南部連絡道路」の整備促進を訴えてきた。その結果、2019年に小国道路の新規事業化が決まり、一部工事に着手したが、東側の飯豊町手ノ子は早期計画策定要望区間で、いわば手付かずの状態だ。まずは早期の全線開通を強く要望すべきだろう。

 次に重要なのは迂回(うかい)路の確保だ。透析患者を送り出すことができた九才峠は今回、運よく被害を免れていた。しかし、通常はあまり利用されておらず、道路幅も狭い。町は災害に強いルートにすべく関係機関に働きかけたい。

 今回、孤立は短期間で解消されたが、天候によっては長期化する可能性もあった。町は毛布などの備蓄をしているが、品数や量などを拡充し、町民生活を1週間程度は維持できるよう、引き続き対策に尽くすべきではないか。

(2022/09/24付)
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