広島はきょう「原爆の日」を迎えた。3日後には長崎にも、その日が訪れる。77年前、2度の原爆投下で20万人以上が犠牲になり、今なお多くの人が健康被害に苦しんでいる。
だが「核なき世界」は遠のきつつある。ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は「国家主権の保持に必要な場合は核兵器を使うことになる」と公の場で発言し、核兵器使用の脅しを繰り返している。北朝鮮も長距離弾道ミサイルの発射を続けて核攻撃能力を誇示しており、東アジアの緊張は高まる一方だ。国際社会は未曽有の危機に直面している。
そうした中、核兵器の非人道性を身をもって知る被爆者が「核廃絶」への決意を内外に発信する意義は大きい。しかし被爆者の平均年齢は84歳を超えており、核廃絶運動や被爆体験の継承といった活動の先細りが懸念されている。
国から被爆者と認定され、被爆者健康手帳を交付された人は1980年度末の約37万人をピークに減少。2021年度末で11万8935人となり、前年度から8820人減った。本県の被爆者は9人で、全国で最も少ない。
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)によると、かつて活動していた47都道府県の団体のうち、現在も運動を続けている団体は37に減少した。被爆地の団体も高齢化と後継者不足、会費収入の減少による資金難に直面している。
厳しい状況の中、被爆者の代わりに体験を語る「被爆体験伝承者」を養成する取り組みが続けられている。広島市は2012年から伝承者の養成を始め、研修を受けた156人が活動中だ。東京都国立市は被爆地以外の自治体では唯一、伝承に取り組んでいる。市内に住む被爆者の提案で15年から養成事業を開始し、30~80代の26人が原爆と東京大空襲の体験を語り継いでいる。
こうした戦争体験の継承は、全国的に共通した課題といえよう。国立市の事例も参考にしながら、平和を願う被爆者、戦争体験者の思いを次世代につなぐ努力を続けていきたい。
一方、国と被爆地の間で被爆者認定を巡り、わだかまりが解けていないことが気がかりだ。被爆地は救済拡大を求めてきたが、国は線引きによって絞り込む姿勢を変えようとしない。
被爆者健康手帳を交付されると医療費の自己負担はなくなり、さまざまな手当も支給されるが、認定のハードルは依然として高い。広島では4月から、救済範囲を少し広げた認定基準の運用が始まった。一方、被爆者と認められていない「被爆体験者」がいる長崎は新基準の対象から外れた。
長崎県と長崎市は7月、体験者救済を国に要望したものの、先行きは不透明なままだ。認定のわだかまりを解消してこそ、被爆地の声は核廃絶に向け、より大きな力になるだろう。
そのためには国が認定の在り方を根本から見直し、一層の救済拡大に本腰を入れることが求められる。厳格な線引きにこだわらず、原爆による影響を明確に否定できない限りは救済するという方向に転じる必要があろう。
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