社説

コロナ入院体制3割増 第6波への備え十分に

 厚生労働省が、新型コロナウイルスの流行「第6波」を見据えた都道府県ごとの医療提供体制の確保計画を公表した。

 今年夏の第5波では病床が逼迫(ひっぱく)し、症状が悪化しても入院できず亡くなるケースが相次いだ。都市部などではコロナ病床と申告しながら実際は患者を受け入れない「幽霊病床」も問題化した。それらを踏まえての医療体制の強化策だ。

 感染状況は今は比較的落ち着いているが、専門家の中には第6波が必至との見方もあり、第5波を教訓に想定できる限りの備えを整えておく必要がある。

 公表された新たな医療提供計画では、第5波のピークの約3割増となる約3万7千人が入院できる体制を構築する。病床使用率は第5波実績の68%から最大82%に引き上げる。

 本県は現状の237床を最大280床程度に増やす。感染状況に応じて自治体病院が臨時的に十数床を準備する。さらに、専用病床が逼迫した際に療養者へ酸素投与を行う「酸素ステーション」を内陸と庄内両地域に1カ所ずつ設け、各15床の計30床を確保する方針だ。

 県内の現状237床は計10病院に設けられている。内訳としては、▽県立中央(47床)▽山形大医学部付属(27床)▽県立河北(6床)▽県立新庄(9床)▽公立置賜総合(34床)▽日本海総合(41床)▽鶴岡市立荘内(25床)-の7病院が明らかになっていた。さらに政府は、医療提供体制の「見える化」として、コロナ病床のある医療機関名を公表。県内では他に、▽山形市立済生館(35床)▽山形済生(5床)▽米沢市立(8床)の3病院(計48床)が示された。感染拡大時には連携・調整して効率的な運用に努めてもらいたい。

 一方、政府は医療確保計画について、新たなオミクロン株の感染者が国内で確認される前に第6波対策の全体像を決定している。さらに計画はワクチン接種で一定の感染抑制効果があることを前提に作られている。確かに接種率(2回目)は7日現在で77.2%と高水準だが、オミクロン株の感染力はデルタ株を超える可能性も指摘されており、ワクチンでどこまで感染者数を減らせるか不透明だ。抗体カクテル療法や飲み薬の効き具合も見通せない。条件が変われば計画を臨機応変に見直すことも必要だろう。

 岸田文雄首相は所信表明で、ワクチン接種完了から原則8カ月以降とされていた3回目接種の時期について、オミクロン株への効果を見極めた上で「追加承認されるモデルナを活用して、8カ月を待たずにできる限り前倒しする」と言及した。可能な自治体から前倒ししていいのか、肝心のワクチン供給の見通しはどうなのか-。不透明な部分が多いだけに自治体が混乱しないよう、政府には整理した情報を迅速に流すことを求めたい。

 オミクロン株の脅威を想定し、海外からの到着に関しては外国人の入国禁止措置が取られている。国内まん延を防ぐため水際対策は引き続き重要になる。

 また、私たちもマスクや手指消毒、室内換気など基本的な予防対策を継続したい。忘年会など外で飲食の機会が増える時期だが、感染リスクと隣り合わせであることを忘れないようにしたい。

(2021/12/09付)
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