東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長、東京都知事、五輪相、国際オリンピック委員会(IOC)会長、国際パラリンピック委員会会長の5者が3日に協議し、何よりも安全で安心な大会の開催を目指すことを確認した。これを受けて、政府は海外からの観客を受け入れない方向で調整に入った。思い切った対応が必要だと判断したのだろう。
米国や欧州などではワクチンの接種が進む。高齢者では新型コロナウイルスの感染者数を下げる効果が確認されるようになった。
それでも、感染が世界的にいつ、どのように収束するか、見通しはまだつかない。オリパラの開催を機に感染が再拡大するような事態を招いてはならないし、開催国には参加選手の感染リスクを限りなくゼロに近づける責任がある。
一方で、海外分のチケットは100万枚近くが既に販売されたようだ。海外からの観戦客は受け入れないと政府が正式に決定すれば、チケット購入者には失望が広がるかもしれない。
日本よりも感染者が少ない国、あるいはワクチンの接種が進む国からは不満の声が上がる可能性がある。日本ではまだワクチンの本格接種が始まっていないのに、日本のチケット購入者は観戦が認められ、われわれは観戦の権利を放棄しなければならないのかと。
大会組織委は感染拡大を受けて昨年、国内のチケット購入者に対し、放棄して払い戻しを希望するかどうかを尋ねた。現状は大多数の人が保持している。
そのような選択肢は海外でのチケット購入者には提示されない。日本国内を優遇する決定だと感じる人が出てくるかもしれない。
これとは別に、IOC協賛企業が確保したチケットを持つ人は、日本にやって来て大会を観戦することが許される見通しとなった。IOCの確立されたビジネスの一環らしい。
五輪の競技運営に携わる陸上や水泳などの各国際競技連盟からは、数多くの役員や審判が来日を予定している。また、各国の放送権者と報道記者は、合わせて2万人を超える規模となりそうだ。
海外から一般観客だけを受け入れないとなれば、ここは丁寧な説明が必要だ。
日本では多くの人が外出を控え、仕事の規模縮小を余儀なくされ、収入が減っている。国民がさらなる苦境に陥ることがないよう、万全を期すための対応だと政府は強調するかもしれない。
併せて、対外的にはどこまでも合理的で具体的な根拠を示し、幅広い理解と納得を得なければならない。
政府は今月25日に迫った国内での五輪聖火リレー開始前に、海外からの観客の受け入れ断念を決めたいようだ。だが、チケット購入者の理解を得るのに時間がかかるようなら、かたくなにここを期限とすべきではないだろう。
感染がやまない中でも、世界には五輪を楽しみにしている市民が数多くいる。五輪は言うまでもなく国境を超えた、世界で最も注目される社会的イベントの一つだ。
開催国は課題の解決に、国際的な視野を持つことが求められる。
|
|
東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長、東京都知事、五輪相、国際オリンピック委員会(IOC)会長、国際パラリンピック委員会会長の5者が3日に協議し、何よりも安全で安心な大会の開催を目指すことを確認した。これを受けて、政府は海外からの観客を受け入れない方向で調整に入った。思い切った対応が必要だと判断したのだろう。[全文を読む]
菅義偉首相は首都圏4都県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言を2週間程度再延長する意向を表明した。期限の7日で解除したい考えだったが、慎重意見が強い知事、医療界、専門家に外堀を埋められる前に機先を制した形だ。[全文を読む]
認知症で預貯金を管理できなくなった本人に代わり、家族がお金を引き出すための手続きを銀行界が「見解」としてまとめた。高齢化社会に伴い認知症患者の急増が見込まれており、新たな対応が求められていた。親を介護する家族らに融通が利く仕組みとして、速やかな浸透を期待したい。[全文を読む]
一般会計総額が約106兆6千億円と過去最大となる2021年度予算案が衆院を通過し、憲法の衆院優越規定によって年度内の成立が確定した。[全文を読む]
ミャンマーでクーデターに抗議する市民が治安当局の銃撃を受け、死傷者が多数出る事態になっている。総選挙で示された民意を踏みにじって全権を掌握した国軍は、平和的なデモを残忍な暴力でつぶそうとしている。到底容認できない行為で、直ちにやめるべきだ。[全文を読む]
鶴岡市羽黒町の松ケ岡開墾場が今年、旧庄内藩士による開拓着手から150年を迎えた。紡いできた伝統を次代に引き継ぐために地元は、さまざまな記念事業を計画している。改めて歴史に学び、固有の気風、文化を再確認しながら、今後の地域振興に役立てたい。[全文を読む]
これは民意の捏造(ねつぞう)だ。同時に民主主義を冒瀆(ぼうとく)する行為でもある。なぜ起きたのか。背景には何があったのか。警察の徹底捜査はもちろん、運動を主導した側も洗いざらい調査し、真相を解明して責任の所在を明確にしなければならない。[全文を読む]