社説

知事選で吉村氏が4選 暮らしの再建、最優先に

 有権者は現県政の継続を選択した。2009年以来12年ぶりに選挙戦となった知事選である。全国初の女性候補同士による一騎打ちとなった戦いは、現職の吉村美栄子氏が新人の元県議大内理加氏を制して4選を果たした。

 世界、日本がコロナ禍に揺れ、深刻なダメージを受け、本県もその渦中にある。県政のリーダーには、対策を徹底して県民の命と健康を守り、経済の再生と暮らしの立て直しを最優先に力を注いでほしい。同時に、ウィズコロナ、ポストコロナの時代を見通し、デジタル化の推進や脱炭素社会をにらんだグリーン成長戦略の取り組みなど、新たな可能性を切り開く施策に果敢に挑戦し、県勢発展の道筋を確かなものにするよう望みたい。

 選挙戦には両氏ともに無所属で出馬した。吉村氏は県民党を標ぼうし、県選挙区選出の参院議員2人のほか、立憲民主、国民民主、旧社民、連合系などの県議や市町村議に自民の一部、共産が加わる幅広い勢力の後押しを受けた。一方、自民が擁立した大内氏は、県内小選挙区選出の衆院議員3人、県議会最大会派自民党の全26人、保守系市町村議の支援を受け、自民と公明県本部の推薦を受けた。

 吉村氏は県の新型コロナ対策をはじめ現職としての実績を前面に掲げ、一部に多選批判はあったものの全域で浸透した。大内氏は企業や団体の支援を足掛かりに組織戦に持ち込む構えだったが、十分に機能しないままに終わった。

 コロナ禍で選挙運動は大きく制約された。握手もままならない場面があり、有権者との接触を制限せざるを得ない状況が続いた。大規模集会の開催を見送るなど、異例ずくめの対応に終始した。

 コロナ下という危機的状況にあって、現体制の対策に一定の評価がある中では、安定を重視し、県政を刷新するという果断な選択には結び付きにくい方向に作用したのではなかろうか。加えて、2度にわたる無投票の改選を挟んで迎えた今回の選挙戦は、吉村県政3期12年の評価が最大の争点になった。新型コロナ対策という大きな事象を背景にして、現職の存在が常に前面に出る形になり際立つ結果になったことも勝敗を分ける要因になったと言えよう。

 世界はいま、危機にひんしている。本県が単独で取り組み、効果を導き出せる施策は限られているのが実情だ。このたびの知事選では、国との連携をより重視した姿勢への転換を求める声もあった。難局に直面する中だからこそ、国、そして市町村との結び付きを一層強めることが求められている。選挙戦では、それぞれの候補への支持、支援が分かれた経緯がある。だが、ここに至ってはノーサイドである。県政トップ自らが率先してその融和にリーダーシップを発揮すべき局面であろう。

 本県初、東北初の女性知事が誕生し、09年に始動した吉村県政だが、4期目の始動に当たって、その足跡を検証することを求めたい。当初から掲げる「あったかい県政」の本質とは何だったのか。「対話を重ねる県政」の基本姿勢は堅持しているのか。改めて問い直す中で、県政のかじ取り役としての使命と責任を果たしてほしい。

(2021/01/25付)
[PR]
最新7日分を掲載します。
  • 1月25日
  • 知事選で吉村氏が4選 暮らしの再建、最優先に

     有権者は現県政の継続を選択した。2009年以来12年ぶりに選挙戦となった知事選である。全国初の女性候補同士による一騎打ちとなった戦いは、現職の吉村美栄子氏が新人の元県議大内理加氏を制して4選を果たした。[全文を読む]

  • 1月23日
  • 核兵器禁止条約が発効 日本政府は態度変更を

     核兵器の開発や製造、保有、使用、使用の威嚇などを包括的に禁じる核兵器禁止条約が発効した。核兵器を「絶対悪」とみなす人間道徳の高みから、抑止力を含む核の存在意義自体を全面否定する国際法は初めてだ。[全文を読む]

  • 1月22日
  • バイデン米大統領就任 理想の灯掲げ和解実現

     憎悪と対立のトランプ時代が終わったというのに、バイデン米大統領の就任式に祝祭的な雰囲気は薄かった。米国が直面する国難の大きさが楽観的なムードを消してしまったのだ。米国を復活させ、再び理想の灯をともせるのか。史上最高齢78歳で就任したバイデン氏にその使命が託された。[全文を読む]

  • 1月21日
  • コロナ巡る国会代表質問 政策の結果に責任示せ

     菅義偉首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、首相は、経済再生にこだわり結果的に深刻な第3波を招いたことも、緊急事態宣言の再発令が後手に回ったことも「失敗」とは認めず、反省の姿勢を示さなかった。[全文を読む]

  • 1月20日
  • 「裸足で歩ける庄内海岸」計画 次の10年、さらなる成果

     本年度が最終年次の県海岸漂着物対策推進地域計画(2011年度から10年間)に基づき、庄内浜のごみの散乱状況を数値化して示す「海岸清潔度モニタリング調査」で、全39区域の約半数の19区域が、計画で定めた「10年後の清潔度を1ランク以上高める」との目標を達成した。県民ボランティアの活動などによる成果といえる。一方で、悪化した区域があるなど課題も浮かび上がっている。県は新たな10年を期間とする次期計画を本年度中に策定する。さらに効果の上がる仕組みづくりが望まれる。[全文を読む]

  • 1月19日
  • 施政方針演説 危機に臨む責任感示せ

     菅義偉首相は通常国会冒頭の施政方針演説で、政権の目標は国民に「安心」と「希望」を与えることだと強調、新型コロナウイルス感染症対策について「私自身も闘いの先頭に立つ」と表明した。[全文を読む]

  • 1月18日
  • コロナ下の貧困 困窮者支援の拡充急げ

     新型コロナウイルスの感染拡大に終わりが見えない中、多くの人が仕事を失い、ごく普通の生活を支え切れなくなっている。労働組合は解雇・雇い止めや賃金カットの無料相談会を実施。労働訴訟の支援にも動きだしている。[全文を読む]

[PR]