社説

酒田出身の新十両北の若関 土俵の活躍、郷土に元気

 大相撲初場所で、酒田市出身の新十両(西12枚目)北の若関(八角部屋)が8日目を終えて6勝2敗と奮闘している。同市出身の関取誕生は元幕内若瀬川以来、42年ぶり。佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若、尾花沢市出身)の長男で幕内の琴ノ若関(佐渡ケ嶽部屋)、白鷹町出身で十両の白鷹山関(高田川部屋)をはじめ、本県ゆかりの力士と土俵を盛り上げるとともに、関取への定着とさらなる飛躍を期待したい。

 189センチ、148キロの恵まれた体格と長い手足、端正な顔つきで角界の中でも注目される21歳のホープ。運動神経の良さは地元では有名で、酒田青年会議所主催の「わんぱく相撲酒田場所」では、相撲を始めたという宮野浦小3年時から優勝。本名の斎藤大輔の名前はとどろいていた。

 酒田一中時代は全国都道府県中学生選手権で優勝し中学横綱に。高校は古里を離れ、大関貴景勝関ら多くの逸材を角界に輩出している名門・埼玉栄(埼玉)に進んだ。3年時には高校横綱となり、世界ジュニア相撲選手権大会でも個人、団体で優勝。輝かしい実績を引っ提げ、2019年に入門した。わんぱく相撲の全国大会で上京した際、鶴岡市出身の元幕内大岩戸もいた八角部屋を宿舎として利用した縁などから、日本相撲協会の理事長を務める元横綱北勝海・八角親方の下で力士としての道を歩み始めた。

 19年の春場所で初土俵を踏み、翌20年の初場所では幕下に昇進。突っ張り、右四つ、寄り、上手投げで白星を重ねた。入門当初は力があるため、勝ち目があると見るや得意の投げを放っていた。ただ、師匠は基本の突き押しの重要性を説いた。より上位の大きな相手には通用しない、と。そこから北の若関は変わった。東幕下3枚目で臨んだ昨年11月の九州場所。5勝2敗と勝ち越し、十両昇進を決めた。

 前に出ることを強く意識したことは大きな転機となったようだ。オールラウンダーの力士を目指し精進を重ねている。9日に始まった初場所では、初日から前に出る取組で白星発進。3日目には東十両11枚目の白鷹山関との郷土勢同士の取組を制した。「馬力を生かして、もっと前に出る相撲を取ること。まだ、関取としては始まったばかりだが、そうすれば上が見えてくる」。師匠はこう太鼓判を押す。

 郷土勢の活躍の一方で、気になるのは後進の育成だ。北の若関が育った酒田相撲教室は酒田市武道館にある屋内の土俵で子どもたちが稽古に精を出している。少子化や他競技との相対的人気などで門下生は減少。新型コロナウイルス禍もあって、接触の多い相撲の大会や稽古が思うようにできないことも影響しているという。

 地元後援組織として「北の若を応援する会」も発足した。個人や企業の会員を募っており、化粧まわしを贈ることも計画中だ。北の若関の勢いを地元酒田の発展につなげたいという。県内で国技の相撲道を志す子どもたちを増やし、明るい話題を古里に提供するためにも、北の若関だけでなく、郷土ゆかりの力士には着実に一歩ずつ前に進んでもらいたい。

(2022/01/17付)
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