社説

天皇陛下、即位の礼 皇位の安定継承も重要

 天皇陛下は皇居・宮殿で「即位礼正殿の儀」に臨まれた。三権の長や外国の元首、代表ら2千人以上を前に玉座「高御座(たかみくら)」に上り、「国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」とお言葉を述べた。

 皇位継承を内外に宣する即位の礼で中心儀式の正殿の儀のほかに祝宴「饗宴(きょうえん)の儀」、さらにパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」も今回予定されたが、政府は台風19号の甚大な被害を踏まえ、パレードを来月に延期し、それ以外の儀式は外国の賓客も列席するため、予定通り実施した。

 陛下は5月1日の即位に際してのお言葉でも「国民に寄り添う」との決意を示された。台風被害を巡っては、犠牲者に哀悼の意を表し、安否不明者の早期発見や生活再建を願う「両陛下のお気持ち」が宮内庁から発表された。政府は当初、パレードを予定通り行う考えだったが、陛下の強い思いにも配慮し、方針を転換したとみられている。

 昨日の即位の礼に際したお言葉の中で陛下は、在位30年以上にわたる上皇さまの世界平和への思いにも触れて「改めて深く思いを致す」とし、自らも「世界の平和を常に願う」と述べられた。

 令和時代の本格的な幕開けを祝うとともに、平和を希求する思いを平成の時代から継承、発展させていきたい。

 共同通信社の5月の全国世論調査によると、即位された陛下に82.5%が「親しみを感じる」と回答している。そうした中で陛下は、令和の時代の「象徴」とはどうあるべきか、これからも模索を重ねていかれることだろう。

 ただ現実をみると象徴天皇制は、皇位の安定継承や皇室活動の維持などに多くの課題を抱え、岐路に差し掛かっている。即位の礼を機に国民的議論を高め、課題克服に生かしていきたい。

 皇位継承資格者は皇室典範により「男系の男子」に限られ、現在は継承順に皇嗣秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男悠仁さま、上皇さまの弟、常陸宮さまの3人。このままでは、10代の悠仁さま1人に皇統存続の重圧がかかることになる。

 また皇族は現在、天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻を含め18人。うち未婚の女性は6人いる。典範の規定で民間人と結婚した時は皇族の身分を離れるため、今後結婚が相次ぐと公務の担い手が足りなくなり、皇室活動の維持が難しくなる。

 祝賀ムードの中、政府は年来の課題を棚上げしてきた。しかし、こうした状況を踏まえれば時間的な余裕は限られているのが現状である。

 5月の同世論調査によると、皇室典範で「男系男子」に限るとした皇位継承を巡っては、女性天皇を認めることに賛成が79.6%に上り、反対の13.3%を上回っていた。

 政府内では、民間人と結婚した女性皇族に皇室活動を委嘱する案が検討されている。しかし、皇族減少対策になっても皇位の安定継承まではつながらない。

 憲法で天皇の地位は「国民の総意」に基づくと定められている。政府は11月の「大嘗祭(だいじょうさい)」の後に有識者会議を発足させるが、私たち国民も皇室に何を求めるかを含め、考えを巡らせていきたい。

(2019/10/23付)
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