社説

大規模停電1週間 徹底検証で備え固めよ

 現代生活がいかに電気に依存しているかを、被災者に限らず多くの人々が改めて実感しただろう。

 首都圏を直撃した台風15号による千葉県の広域停電から1週間が経過した。「電気」と「水」を絶たれた同県内で深刻な被害が発生。直後の猛暑ではエアコンを使えない家屋内で十分な水分補給もままならず、熱中症で病院に搬送される人が続出した。亡くなった方もいる。

 君津市で9日に送電用の鉄塔2基が倒壊。各地でも電柱がなぎ倒されて電線が損傷したため、千葉など7都県で停電は最大90万戸以上に及んだ。東京電力は当初、11日中の全面復旧を目指す計画を公表したが、設備の損害が大きく、復旧作業は大幅に遅れた。

 送電線をつなぐ鉄塔が倒壊しただけなら、送電ルートを切り替えることで影響を抑えることもできるが、今回は、あちこちで電柱が倒れたり、倒木で電線が切れたりと被害が想定を大きく上回った。現場にたどり着くのが難しい場所もあり、17日夕の時点では、なお約6万戸で停電が続いている。東電は作業を急いでいるが、「おおむね復旧」の見通しは27日までずれ込んでいる。

 これまで首都圏で大きな台風被害はめったになかった。しかも河川の氾濫や土砂崩れなどではなく、暴風によるインフラ破壊で被害がこれほどまで拡大するのを予想するのは難しかっただろう。ただ近年、地球温暖化の影響もあって台風の勢力は強まっている。昨年9月の台風21号でも、関西電力管内で千本以上の電柱が折れ、延べ約220万戸が停電した。

 この時は全面復旧まで17日を要した。こうした被害はどこでも起こり得る。頻度が増す恐れもあり、大規模停電と復旧の遅れの要因を徹底検証し、備えを固めたい。鉄塔や電柱の強度見直しとともに、電線の地下埋設などを可能な限り急ぐべきだ。併せて災害時の拠点となる自治体の庁舎や避難所についても、電源確保や情報提供などの面から整備を着実に進める必要がある。

 電気も水もない生活の長期化は住民に重くのしかかった。特に入院患者やお年寄りら災害弱者は深刻な状況に置かれた。人工透析に必要不可欠な水と電気が供給されず、かかりつけの病院で透析ができなかった患者は「命の危険を感じた」という。医療機関や福祉施設などの電源確保は十分か、確認しておきたい。

 停電地域では通信設備の非常用電源が足りず、通信障害が発生。12日の時点で固定電話3万回線以上が不通となり自治体間の連絡が取れず、台風被害情報の収集が遅れた。インターネット回線は使えず、防災無線がバッテリー切れなどで機能しない事例もあった。通信障害が解消されても、スマートフォンや携帯電話のバッテリーが切れ、情報不足の中で不安を募らせた住民もいた。各世帯でも電池式の充電器の確保など身近な停電対策を取っておきたい。

 今回の台風被害では自治体の初動の遅れが指摘されているが、情報の途絶が一つの大きな要因だったのではないか。インターネットやコンピューターが使えないことによる社会システムのまひについて、危機感を強める必要もあろう。

(2019/09/18付)
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