社説

鶴岡の次世代料理人決定戦 食の担い手、活躍を期待

 鶴岡の若手ナンバーワン料理人を決める「鶴岡NO.1次世代料理人決定戦」が初めて開かれ、日本料理店庄内ざっこの斎藤翔太さん(36)が初代グランプリを獲得した。鶴岡に根付く豊かで多様な食文化の新たな担い手として、新しい価値を生み出す次世代のキーマンとして一層の精進と活躍を期待したい。

 斎藤さんの作品は「『豊食を繋(つな)ぐ』口細カレイの包み焼き やさしいソースで」。庄内浜を代表する魚種で身近な食材として親しまれている口細カレイと伝統野菜のカラトリイモを主な材料に、外はカリカリ、中はふんわりとした食感に仕上げた。普段から見慣れている素焼きとは全く異なる外観でありながら、口にした瞬間、子どものころに食卓で食べたような懐かしさが広がる意外性とほっとするような味わいなどが高い評価を受けた。安定して手に入る食材を使い、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が親しめる点も評価の対象となった。

 準グランプリの須田剛史さん(44)=魚匠ダイニング沖海月=の「秋鱧(はも)とぶりこの椀(わん)物」は、庄内浜で近年水揚げが増えている新しい食材のハモと伝統的な食材であるぶりこの「出合い」をお椀の中で演出した。ハモの骨でだしを取り、カブなどを添えた一品。同じく準グランプリの木村英之さん(43)=ベルナール鶴岡=の「鱈(たら)の白菜包み 味噌(みそ)の淡雪がけ―春の気配」は、庄内を代表する冬の味覚である寒ダラ汁の味わいをそのままに皿料理という新しいスタイルで表現した。

 今回の大会では、注目すべきもう一皿があった。鶴岡協立病院に勤務し、患者に病院食を提供している遠藤亮さん(35)が考案した「藤沢かぶと庄内豚のミルフィーユ仕立て」。高い栄養価や栄養素のバランス、さらにアレルギー表示義務のある原材料を使わないといった点に加え、のみ込む機能が衰えた人たちのことを考えて口当たりの滑らかさやのみ込みやすさにも工夫を凝らしている。

 このレシピは、鶴岡発の「おいしい病院食」という新しい価値を生み出す期待感を抱かせた。各審査員から高い評価が寄せられ、特別賞が贈られた。「食文化」は健康な人たちだけのためにあるのではない―。遠藤さんの挑戦は、これを問い掛けることにつながった。この点を特筆し、大会の成果の一つに挙げたい。

 会場となった鶴岡市のグランドエル・サンには、平日の日中にもかかわらず100人の市民が詰め掛けた。事務局によると、同市の広報誌などで募集したところ申し込みが相次ぎ、すぐに定員に達したといい、鶴岡市民の食に対する意識の高さをうかがわせた。

 この大会は今後、隔年で開催される予定。第1回大会で最終選考に残ったのは、多くが日本料理だった。鶴岡には、和食以外の分野でも誇れる料理店がある。鶴岡の食文化の多様性を磨く上でも次回以降、さまざまな分野の料理人が集い、最終選考されるような大会となるよう、さらに広くエントリーを促す必要があるだろう。裾野を広げずして山の頂を高くすることは難しい。この大会が回を重ねるごとにレベルを上げ、ジャンルを超えて若手料理人の目標、憧れとなるよう関係者の一層の努力を求めたい。

(2020/02/24付)
最新7日分を掲載します。
  • 2月24日
  • 鶴岡の次世代料理人決定戦 食の担い手、活躍を期待

     鶴岡の若手ナンバーワン料理人を決める「鶴岡NO.1次世代料理人決定戦」が初めて開かれ、日本料理店庄内ざっこの斎藤翔太さん(36)が初代グランプリを獲得した。鶴岡に根付く豊かで多様な食文化の新たな担い手として、新しい価値を生み出す次世代のキーマンとして一層の精進と活躍を期待したい。[全文を読む]

  • 2月22日
  • 検事長定年の答弁変更 論理破綻の開き直りだ

     社会情勢の大きな変化に対応するため法解釈を変更せざるを得ない、というのならまだ分かる。そうではなく、特定の公務員の定年を延長させるために政府が唐突に解釈変更を持ち出したのが、まず容認し難いことだった。すると官僚がすぐ追随し、これまでの自身の国会答弁を引っ込め、正反対の趣旨に変えてしまった。これで良いのだと本気で考えているのだろうか。[全文を読む]

  • 2月21日
  • 新型肺炎、クルーズ船乗客死亡 徹底的な検証が必要だ

     クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で起きた新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の集団感染で、初めて乗客に死者が出た。80代の日本人男女2人である。[全文を読む]

  • 2月20日
  • 「桜を見る会」論戦 疑惑否定の裏付け示せ

     「桜を見る会」の前日に開かれた首相後援会の夕食会を巡る疑惑で、野党から連日追及され、安倍晋三首相が答弁に窮している。会場を提供した東京都内のホテルが、これまでの首相答弁と食い違う説明を文書で野党に伝え、疑惑が一段と深まっているからだ。ホテル側の説明通りであれば、政治資金規正法違反の可能性も出てくる。[全文を読む]

  • 2月19日
  • 企業へのサイバー攻撃 情報共有し対抗を図れ

     五輪イヤーが明けて間もなく、三菱電機やNECという日本を代表する防衛関連企業4社への大規模なサイバー攻撃が明るみに出た。[全文を読む]

  • 2月18日
  • 死亡火災相次ぐ県内 早期発見、逃げ遅れ防げ

     今年に入り、県内で住宅火災による犠牲者が相次いでいる。ほとんどは70代以上で、1人暮らしか高齢者だけで在宅中に犠牲になっているのが特徴だ。まだまだ暖房器具を使う機会が多い。防火の心構えはもちろん、火災警報器の設置や住民同士の目配りなどを徹底して、逃げ遅れを防ぎたい。[全文を読む]

  • 2月17日
  • 清河八郎生誕190年 人物像を広める契機に

     庄内町出身の幕末の志士、清河八郎は今年、生誕190年を迎えた。母親を連れて全国を旅した際の道中記「西遊草」は絶版となっていたが、同町の清河八郎記念館が山形新聞社のクラウドファンディング「山形サポート」で資金を募集し復刻されることになった。八郎を主人公にしたNHK大河ドラマの実現を目指す動きもあり、明治維新の魁(さきがけ)と呼ばれる人物像を全国に発信したい。[全文を読む]

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2020年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2020年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から