社説

原油高騰、ガソリン高 増産の働き掛け強めて

 原油価格の高騰が収まらない。米国の原油先物市場で約7年ぶりとなる1バレル=80ドル超の高値が続き、国内では円安の影響も加わってガソリン、灯油価格が大幅に上昇している。電気料金も値上げされる。暖房需要が高まる時季を控え、家計や企業の負担が増えそうだ。

 本県の動向を見ると、経済産業省が発表した18日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は、11日時点の前回調査と比べ3円70銭高い171円30銭となり、4週連続値上がりした。170円を超えるのは2014年8月以来7年2カ月ぶり。灯油は18リットル当たり49円高い1827円と5週連続で上がり、1800円台は14年10月以来7年ぶりとなった。家庭向け電気・ガス料金は12月も上がり、東北電力の場合、年初からの値上がり額は標準的家庭で973円となる見通しだ。

 昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界経済が落ち込み、原油価格が大幅に下落し低迷した。ところが最近はワクチン接種が進んだことなどから各国で経済活動が再開し、原油需要が高まっている。ただし主要産油国が増産ペースを抑えているため、原油価格の値上がり傾向が続いている。

 ここで懸念されるのは、既にコロナ禍によって圧迫を受けている低所得層や飲食・宿泊業者などへの影響だ。政府は輸送業、農漁業への支援策を周知徹底するほか、中小企業向け相談窓口の設置も検討しているが、家計負担が年間2万8千円増えるとの試算もあり、影響は広範囲に広がる恐れもある。支援拡充も視野に対応を急ぐべきだ。

 同時に求められるのは、石油輸出国機構(OPEC)を中心とする産油国への増産働き掛け強化だ。茂木敏充外相がクウェート外相に要請しているが、さらに対象を拡大して相場の安定を図ってほしい。日本では実感できないが、米国で原油高によるインフレ加速が懸念されている。今以上の高騰を避けたいのは米国や欧州連合(EU)も同じだ。国際協調も検討するべきだろう。

 当面の焦点は11月上旬に開催予定のOPECと非加盟産油国による会合「OPECプラス」だ。前回10月の会合では増産を見送り、これが価格上昇に追い打ちを掛けた。11月会合で増産を打ち出せば相場を冷やす効果が期待できる。

 米国やロシアが有力な産油国となって市場で存在感を増す中で、OPECにはかつてほどの力はなくなった。とはいえ依然として市場への影響力は大きい。消費国との協調、相場安定を目指し、指導力を発揮してもらいたい。

 一方で忘れてならないのは、この先時代が進んでいく方向性だ。世界は2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロに向け、できるだけ化石燃料を使用しない方向にかじを切った。それでも今回、原油高騰が生活に大きな影響を与えるということは、依存度がまだ相当高いことを示している。

 原油高騰による経済社会への衝撃は緩和すべき眼前の危機だ。ただし、地球温暖化防止に向けた再生可能エネルギーの拡大と、産油国の原油依存経済からの脱却という大目標を見失ってはならない。

(2021/10/22付)
[PR]
最新7日分を掲載します。
[PR]