社説

県内で相次ぐ建物火災 冬季特有の危険がある

 今年に入り県内で建物火災が続発している。発生件数は過去最多ペースで、県は建物火災多発警報を1月だけで3度出した。まさに異常事態である。火事は人命や財産に著しい被害を与える災害だ。防火対策の徹底を図りたい。

 県消防救急課によると、県内における1月の建物火災の件数は38件だった。1カ月当たりの件数で見ると過去10年で最も多い。2番目は2014年11月の29件であり、際立って多いことが分かる。

 県は1週間で9件以上の建物火災が発生した場合に多発警報を発令し、県民の注意を喚起すると同時に、防火対策のポイントを重点的に周知している。対象期間は1週間だ。

 今年は1月12日に第1号を出した後も火災が相次ぎ、20日に第2号、31日に第3号と立て続けに発令を強いられた。同課によると、制度は15年4月から運用されているが、同じ月内に3度発令したのは今回が初めてという。

 建物火災は2月に入っても相次いでいる。1日には鶴岡市加茂で住宅や倉庫など合わせて8棟が焼け、3日早朝には山辺町で住宅が全焼した。

 火災は財産を失うだけでなく生命にも被害が及ぶ。1月は酒田、東根、山形で発生した住宅火災でそれぞれ1人が亡くなった。2月3日の山辺の火事でも焼け跡から1人の遺体が見つかっている。災禍の連鎖を何とか食い止めたい。

 冬季の火災ではストーブなど暖房機器が出火原因となるケースが多い。居室内で火気を扱うことになるこの時節の危険性は皆が知っていよう。改めてストーブなどの周りに燃えやすいものを置かないという原則を徹底したい。

 暖房機器の不適切な使い方も火事につながる。消防庁は、電気こたつを乾燥機代わりにしようとして中に入れた洗濯物がヒーター部分に触れて発火する事例などを示して注意を促す。長く使用している機器のコードやスイッチが経年劣化し発火するケースもあるという。

 正しく使用することに加え、安全装置が付いた機器に更新することも火災の危険を減らすことにつながろう。

 もちろん、寝たばこはしない▽調理などで火を使う時はその場を離れない▽コンセントのほこりを清掃し、不必要なプラグは抜く▽住宅用火災警報器を点検する-など一般的な対策も重要だ。この際、再徹底したい。

 本県のような降雪地では、他にも気を付けなければならないことがある。万が一、火が出た場合の避難経路の確保だ。

 火の回り具合によっては、玄関から逃げられると限らない。夜の発生では寝室から直接外に出なければならないこともあろう。その際、屋根からの落雪が軒下に積もって窓から出られない状況になったりしていないか。高齢者や体が不自由な人がいる場合は、特に注意しておきたいポイントだ。

 消火活動も他の季節と同じようにはいかないことを頭に入れておくべきだろう。雪が障害で消防車が近づけなかったり、水利が悪くなっていたりすることも考えられる。近くの消火栓が雪に埋もれたりしていないか、自主防災組織や住民同士でも気に留めるようにしたい。

(2023/02/04付)
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