2022年8月9日(火)
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多彩な肩書きで40年! レジェンド“青銅さん”が説く『一芸を究めない』生き方「いろんなことに挑戦してほしい」

藤井青銅氏 (C)ORICON NewS inc.
 第1回「星新一ショートショートコンテスト」入賞を皮切りに、作家・脚本家・作詞家・放送作家のみならず、腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースも手がけた、柳家花緑に落語を書いている…。そんな多岐にわたって活動している“青銅さん”こと藤井青銅氏が、このほど書籍『一芸を究めない』(春陽堂書店)を刊行した。座右の銘をタイトルに据え「新人」「人脈」「企画」「リスク」「時代」「先人」という章立てで、自身の経験をもとに“人生のヒント”をそっと提示している。

【写真】伊集院光「僕にラジオを教え込んだ人」 名物作家の青銅さん

 23歳の時に「第1回星新一ショートショートコンテスト」入賞を果たし、入賞者10人で「星新一と一緒に行くカイロ~パリ~ウィーン~ロンドン11日間の旅」に行くという貴重な経験が、その後の歩みを決めた。「すごく運がいいですよね(笑)。星さんといえば超ビックネームだし、学ぶことも多かったし、しかも11日間一緒に旅行をさせてもらったというのは、すごく大きなことで。普通だったら『ご飯行きましょう』なんて図々しく言えないところが、11日間も一緒に旅をすると、最後の方はホテルのお部屋にお邪魔して一緒にお酒を飲んだりしていたので、日本に帰ってからもお食事のお声がけができたんですね」。

 藤井氏は「最初の出会いが星さんですから、ショートショートをどれだけ書いても、この人のことはこえられないと思うと、それ以外のこともしないといけない」と笑顔を浮かべながら回顧。ほどなくして放送業界の門を叩くと、ニッポン放送で“ドン上野”の愛称で親しまれていた上野修さんと出会う。「新人なので、当然先輩方と力の差があるはずなのですが、当時の自分は『もっと経験を積んで歳を重ねる』なんてことは考えず、今の自分で勝負をしようと思っちゃうんです。そうすると、自分よりも年上の人たちにどうやったってかなわないと思って、これは、いろんなことをしないとダメだなと思い立つんですね」。

 野球に例えて、一芸のみで勝負しない大切さをこう説く。「自分が160キロの速球を投げられるのであれば、それで勝負すればいいんだけど、そんな肩が自分にはない。だったら、どうすればいいのかというと、変化球を覚えたり、コーナーをつくような投球をしたり、緩急をつけたり、あの手この手で打ち取るしかない」。こうした思いから、いろんな“面白いこと”に足を踏み入れていった。「作家・脚本家・放送作家・作詞家くらいまでが、だいたいくっついてくるんですけど、落語脚本、腹話術の脚本・演出・プロデュースとか、パーソナリティーもどきのこともやったり、舞台のこともやっているから、6~7つくらいあるんです(笑)」。

 そんな藤井氏だからこそ、同書で紹介されているエピソードも多彩かつ面白くてタメになるものばかりだ。下記に紹介している、同書に登場する主な人びとを見ても、バラエティー豊かな並びになっていることがわかるだろう。その中でも、ひときわ目を引くのがチェ・ひろしだ。詳しくは同書での説明に譲るが、藤井氏が作家として関わっているニッポン放送『オードリーのオールナイトニッポン(ANN)』(毎週土曜 深1:00)でのスタッフの愛称を指す。藤井氏が笑顔で打ち明ける。「どういうわけか、いろんなものの中で一番人気なんですよ(笑)。まず名前が異質だし、職歴も独特だし(笑)。この間会った時に『一番人気だよ』と伝えたら『僕でいいんですかね? なんかエミネムのアルバムに僕がひとりだけ参加している気分で申し訳ないです』って言っていて(笑)。そういう面白い人を許容できる、番組や業界が許容できるのが、すごく健全な証拠ですよね」。

 今でこそ“副業”が推奨される世の中となったが「5年前だと、このタイトルでは訴求できなかったと思うんです」と指摘する。「今これだけ世の中が混沌として、不景気になって、大会社に就職したからといっても安心できない。そんな中、ここ数年になって、急に副業をしなさいと言い始めましたよね。こっちは副業だらけで生きてきたのですが、本当にそうなのよと(笑)。私のような凡人は、ひとつのことだけでは生きていけないよというのがありましたし、ご時世でリモートでの仕事もやるようになって、それでもできるじゃんと。そうなった時に会社に行く意味ってなんだろうとか、自宅でできることも増えたりして。いろんなことをやってもいいという世の中になっているので、ぜひ若い方も、いろんなことに挑戦してほしいです」。今を生きる人々へのエールにもなっている。

 芸能はもちろん、さまざまな人に向けた書籍に仕上がった。「いろんな仕事をしながら40年やってきました。それをまとめた本となりまして。世の中が一芸を究めない方向になっておりまして、私としては珍しく、世の中の動きと私の動きが合致した本なので。芸能本のように見えますけど、芸能本であり、ビジネス本であり、人生本であり、お仕事本になっていますので、芸能界に興味のある方はもちろん、ない方も興味を持っていただけるとうれしいです」。

■『一芸を究めない』に登場する主な人びと
星新一/ドン上野/キャンディーズ/向井勉/チェ・ひろし/瀬戸朝香/松田聖子/柳家花緑/ナガオカケンメイ/エドツワキ/亀渕昭信/オードリー/ウッチャンナンチャン/デーモン閣下/小林信彦/横山やすし/いっこく堂/加山雄三/宝田明/谷村新司/吉川晃司/ビビる大木/劇団ひとり/伊集院光/爆笑問題/天地総子/豊田行二/藤村俊二/ウイリー沖山/森山良子/大瀧詠一/横田順彌 ほか(順序不同・敬称略)

【藤井青銅(ふじい・せいどう)】
1955年山口県生まれ。第一回「星新一ショートショートコンテスト」入賞。以来、作家・脚本家・作詞家・放送作家として活動を開始。ライトノベルの源流とも呼ばれる『死人にシナチク』では“笑いの青銅ワールド”を確立した。『夜のドラマハウス』NHK-FM『青春アドベンチャー』『FMシアター』など、書いたラジオドラマは数百本におよぶ。『オールナイトニッポン』をはじめ多くのラジオ・テレビ番組の台本や構成も手がける。腹話術師・いっこく堂のデビューにあたり脚本・演出・プロデュースを担当。そのほか、小説、エッセイ、歴史ウンチク本など、さまざまな分野でユニークな作品を多数発表する。現在、落語家・柳家花緑とつくる47都道府県の新作落語「d47落語会」プロジェクトが進行中。著作に『一千一ギガ物語』『「日本の伝統」の正体』『ハリウッド・リメイク桃太郎』『幸せな裏方』『ラジオにもほどがある』『ゆるパイ図鑑』などがある。
公開:2022-07-04 08:00
更新:2022-07-04 08:00
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