2022年7月1日(金)
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是枝裕和監督、ソン・ガンホの最優秀男優賞受賞は「最高のゴール」その真意とは?

「第75回カンヌ国際映画祭」韓国人俳優として初の最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホと熱い抱擁を交わす是枝裕和監督
 フランス現地時間28日に閉幕した「第75回カンヌ国際映画祭」。コンペティション部門に出品された是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』は、監督にとって2度目の最高賞パルムドールの獲得には至らなかったものの、主演したソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞。授賞式後の取材で、是枝監督は「この作品にとっての最高のゴール、とても美しいゴールだと思った」と、語った。その真意とは?

【写真】是枝監督はエキュメニカル審査員賞も受賞

 是枝監督作品のコンペティション部門への出品は、パルムドールを受賞した2018年『万引き家族』以来4年ぶり、6回目(出品自体は、8回目)となったが、今回の『ベイビー・ブローカー』は、韓国の製作・俳優陣と長年温めてきたオリジナル企画を映画化した是枝監督初の韓国映画としての出品であったことに世界的な注目が集まっていた。

 ソン・ガンホは、「第72回カンヌ国際映画祭」(19年)で韓国映画初となるパルムドールを受賞したほか、「第92回アカデミー賞」(20年)でも外国語映画として史上初の作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』でも主演を務め、そして今回のカンヌ国際映画祭で韓国人俳優として初の最優秀男優賞を受賞する快挙も達成した。

 是枝監督作品で最優秀男優賞を受賞するのは、2004年『誰も知らない』で柳楽優弥が受賞して以来、2人目。是枝監督は「自分の映画に出た役者がほめられるのが一番うれしい。素直に嬉しいです! 自分がほめられると疑ってかかりますけれど(笑)、役者がほめられる時は本当にうれしいです。特に今回はソン・ガンホさん。予想はしていなかったのですが、このプロジェクトにとって彼の男優賞というのは、この作品にとっての最高のゴール、とても美しいゴールだなと思った」と、喜んだ。

 「最高のゴール」だと思った真意について問われると、「今回、この日韓の合同チームで主演の役者が男優賞というのは、韓国映画界でも初、ソン・ガンホさんも国際賞で単独というのは初だと思うので、そういう意味でも、韓国国内でも盛り上がっているはずですし、僕ら、多分共演した役者たちもスタッフにとっても、一番うれしい賞だと思う。彼がこの作品の肝(きも)だったし、本当にムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、彼がこういう形で評価されたのは何よりでした」と、答えた是枝監督。

 日韓関係は政治的にぎくしゃくすることもあるが、「(『Decision to Leave(英題)』で監督賞を受賞した)パク・チャヌク監督とも話していたのですが、これをきっかけに、もっと日韓のスタッフとかキャストとかの交流が進むといいねと。お互いにお互いから学ぶことがたくさんあるだろうし、そこからまた新しいものも生まれてくるだろうから、そういうことが進むといいなと思います。ポン・ジュノさん(『パラサイト 半地下の家族』の監督)と話していても、日本の役者で撮りたいという気持ちをすごく感じるし、いろんな役者さんの中でもおそらく韓国の監督たちとやってみたいと思っている人はすごく多いと思います。そういうことが進んでいくのを僕はとてもいいことだと思います」と、話していた。

 また、今回のカンヌ国際映画祭は、初日(17日)にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が事前予告なしのビデオ演説を行うなど、ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が影を落とした。記者からの「映画ができる役割はどのようなことだと思いますか?」という質問には、「もちろん直接的な何かに加担していくということへの映画の力はあると思いますけど。今回感じていたのはコロナ禍を乗り越えて3年ぶりに通常のこの時期に開催されて、もちろんいろんな事情で参加することができない方たちがいらっしゃったと思いますが、集った人たちが、みんな映画というものを信じて、みんな映画の愛でつながっているということを示す、発信するということが一番大事で、それが一番大きな力だと思います。間接的かもしれないですけど」と、答えていた。

 映画『ベイビー・ブローカー』は、“赤ちゃんポスト”をきっかけに出会った、赤ん坊の母親、ベイビー・ブローカーの男たち、そして彼らを現行犯逮しようと静かに追いかける刑事――彼らが絡み合いながら繰り広げる、一風変わった旅路を描く。6月24日公開。
公開:2022-05-29 13:50
更新:2022-05-30 11:55
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