『夜明け前のうた 〜消された沖縄の障害者〜』恐るべき私宅監置の実態に迫るドキュメンタリー 

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(C)2020 原義和

 1900年に精神病者監護法のもとに導入された、精神障害者を小屋などに隔離した「私宅監置」という恐ろしい制度がかつて日本にはありました。家族が申請して、行政の許可をもらって精神障害者を家に閉じ込める、人権侵害など多くの問題のあるこの制度は1950年にはすでに日本本土では禁止になっていました。1950年施行の精神衛生法で禁止されましたが、米国統治下の沖縄では72年の返還まで「琉球精神衛生法」のもと容認されていたのです。

 この映画では、名前を奪われ、自由を奪われ、小さな小屋に閉じ込められた人々の名前を取り戻すべく、原義和監督が私宅監置の実態に迫ったドキュメンタリー。先進国なのに、今も多くの患者を劣悪な環境に閉じ込める病院も存在する、日本の精神医療のあり方を改めて考えさせられた作品です。映画では、私宅監置をされた方々を写した写真、その写真を撮ったフォトグラファー、実際の小屋を作った(あるいは作らされた)人物、など当時の様子を知る高齢者の方からの証言を集めています。精神病患者を忌まわしいものとして、人間以下の扱いで監禁していた事実、そしてその行為をするほか術がなく、いまだに罪悪感に苦しむ家族。このような悪しき制度を作った国の罪悪、そして制度を容認していた社会そのものに怒りを覚えずにはいられません。

 実はわたし自身、若い頃に閉鎖病棟に入っていた経験があります。そのとき、散歩の時間の数十分で周りの人たちが自分を見ていた冷たい目線はいまだに忘れられません。日本では精神障害者の方々への偏見がいまだに根強く残っています。自分自身の中に隠れた偏見と向き合い、誰もが自由に生きられる世の中にしていくため、自分ができることをもう一度考えるきっかけとなる作品だと思います。★★★★☆(森田真帆)

監督・撮影・編集:原義和

3月20日から全国順次公開

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