『ドクター・デスの遺産−BLACK FILE−』映画ならではの手法による謎解きの醍醐味 

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(C) 2020「ドクター・デスの遺産―BLACK FILE―」製作委員会

 映画の場合は“サスペンス”であって、ミステリー映画というジャンルは存在しない、という人がいる。ミステリーは、あくまでも小説のジャンルだと。確かに、ヒチコック作品をミステリー映画と呼んだりはしない。たとえ原作がミステリー小説であっても、犯人やトリックをセリフ(言葉)で説明することは、映画としての弱点をさらすようなものなのだ。その意味で、本作の深川栄洋監督のアプローチは決定的に正しい。

 中山七里の推理小説「刑事犬養隼人シリーズ」の映画化だ。アメリカで実際にあった連続安楽死事件から着想を得ており、警視庁捜査一課の好対照の刑事コンビが事件に挑む。なので、まずはバディムービーとして安定して楽しめる。

 深川監督は、多彩なジャンルを器用にこなす職人気質も持ち合わせているが、その手腕が最も生きるのがこのジャンル。冒頭から夜の雨が緊張感を孕み、翌日まで雨の気配を持続させる手際を見ても、それは明らかだ。だが、さらに目を見張るのが、画面に“違和感”を残す伏線の張り方。ナチュラルなカットの連鎖の中に、1カットだけナチュラルでないカットを紛れ込ませることで、観る者の頭の片隅に違和感を植え付けるのである。そのためには、それ以外のところで無駄のない完璧な連鎖を実現する必要があるのは、言うまでもないだろう。まさに、映画ならではの謎解きものの醍醐味がここにある。★★★★☆(外山真也)

監督:深川栄洋

原作:中山七里

出演:綾野剛、北川景子

11月13日(金)から全国公開

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