県内11チームが上山市本庄地区公民館前をスタートし、山形市の山形メディアタワーをゴールとする計5区間20.5キロで争うヤマザワカップ第39回県女子駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会主催)は19日にレースを行い、北村山が1時間9分19秒で3連覇を果たした。
北村山は、6位でたすきを受けたアンカー本間未来(カーブスMORI東根)が5人抜きの走りでトップに立ち、フィニッシュした。続いたのは酒田・飽海で、アンカー高橋佑奈(酒田南高)が順位を二つ上げ、4大会ぶりの2位に食い込んだ。3位の天童・東村山は、1区本間香(山形中央高)が区間新記録で流れをつくった。4位には序盤から上位を維持した鶴岡・田川が入り、5位は中学生の奮闘が光った山形、6位は南陽・東置賜だった。
【評】北村山は最終盤の追い上げが実り3連覇。1区は7位、2~4区は6位と中位で苦しむ展開だったが、社会人アンカーが経験を生かし5人抜きした。酒田・飽海は中盤区間で順位を下げたものの最終区に高校生が力を見せ2位に上げた。天童・東村山は序盤から先行し総合力の高さを見せたが、逆転を許した。
地元の期待に応えられうれしい
高橋卓美・北村山監督の話 地元の期待に応え、3連覇を果たすことができて本当にうれしい。1、2区で先頭集団に差をつけられる予想外の展開となり、負けることも覚悟した。アンカー本間の走りに感謝したい。ジュニア層の底上げを図り、レベルアップさせたい。
「力出し切ればいける」アンカー驚異の5人抜き
【ハイライト】3連覇を目指した北村山にとって、4区を終えて6位の展開は予想外。「負けを覚悟した」(高橋卓美監督)。中継所で待つアンカー本間未来(カーブスMORI東根)は違った。「1分半の差ならば逆転できる」。28歳は冷静に計算し闘志を高めた。たすきを受けた時点でトップと1分38秒差。猛然と駆け出した。
「力を出し切ればいける。最初から突っ込もう」。前を行く背中が近づき、ギアを上げた。一人、もう一人と鮮やかに追い抜いていく。残り2キロの地点で先頭を走る天童・東村山の背中が見えた。もう一段、ギアを上げる。山形市中心街に入った残り1キロ地点で、ついに先頭に躍り出た。
圧倒的な走りで抜き去った人数は5人に上る。一時はついえかけた連覇の夢をたぐり寄せ、実現させた。高橋監督は「ありがとうの言葉しか出ない」、4区斎藤芽衣(東根一中)は「強さに感動した」と憧れのまなざしを送った。
だが功労者は、自分一人が主人公になることをよしとしない。「中高生が粘ってつないでくれた。みんなが頑張った成果」。後輩たちへの感謝の言葉を忘れなかった。
北村山にとっては連覇へのプレッシャーとの戦いでもあった。本間は「自分は重圧とは無縁」と笑いつつ、「走る楽しみを重圧で忘れてはいけない」と話した。「駅伝を楽しんで、一人一人がレベルアップした先に来年がある」。駅伝競技の原点を説く大黒柱はどこまでも頼もしかった。
酒田・飽海、地力示し2位
【焦点】酒田・飽海は高橋佑奈(酒田南高)がトップの北村山と16秒差の2位でゴールに飛び込んだ。頂点には届かなかったが、前年の4位からアップさせた順位にメンバーは手応えをにじませ、「来年こそは優勝」と次回を見据えた。
前回だけでなく前々回も4位。目指すは3位以内―。選手全員が思いを一つにし、レースにぶつけた。
3位でたすきを受けた2区の那須綾乃(同)は、4位でつないだ山形と激しい競り合いを繰り広げた。大きな高低差があるコースにも「上りは得意」。軽快にピッチを刻んで差を広げ、3区に渡した。
最終区間の高橋佑は4位で受け取った。「自分のペースを守る」と気負いのない走りで、50秒差で先頭だった天童・東村山の背中が近づき、終盤に追い抜いた。大逆転劇を演じた北村山に中盤に抜かれたものの、アンカーは「焦らず自分の最大限の走りができた。4区までのいい流れのおかげ」と仲間に感謝した。
直前にけがの影響で当初想定の区間配置を変更して臨んだが、高めた地力を示した。共に区間3位と力走した高橋佑と那須は高校1年生。住石智也監督は「ベテランの力も合わさり、来年は優勝が狙えるチームになる」。3連覇した女王・北村山を倒す視界が開けた。
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