60年以上の歴史があり、伝統の一戦として数々の名勝負を繰り広げてきた鶴岡市の鶴岡南高、鶴岡工業高による野球とサッカーの最後の定期戦が8日、同市小真木原公園で行われた。来年4月に鶴南は鶴岡北高と統合し、中高一貫校の致道館高として新たなスタート切るため、現在の校名を背負っての戦いに終止符を打つ。市民からは「鶴岡の早慶戦」と呼ばれ、愛されてきた。ラストゲームは鶴工が野球を制し、サッカーは鶴南が勝利をつかんだ。
ともに創立100年以上の県立高で、地元をリードする進学校、実業校として多くの人材を輩出してきた。校舎は市内中心部の鶴岡公園北側で隣接している。故に親睦を深め、実力を高め合おうと、定期戦は1959(昭和34)年に始まった。
歴史は山形東高、山形南高の野球定期戦よりも古い。今年で野球が第68回、8年後に追随したサッカーが第47回を迎えた。かつては年2回開催した時期もある。地区予選で対戦する機会も多い野球は、互いに「相手を倒さなければ先はない」との思いで戦ってきたという。甲子園出場は鶴工が1994年の1度、鶴南がゼロ。私立勢に押されながらも、夢舞台を目指し競い合ってきた。運営は生徒会が担い、全校生徒が応援へ。一大イベントとして継続してきた。
この日、市小真木原野球場で行われた野球で、鶴工の阿部吏人主将(17)は「伝統ある定期戦は今年で幕を閉じようとしている。最後まで諦めず、全力でプレーする」と宣誓した。試合は初回からペースを握った鶴工が犠飛などで四回までに4点をリード。一時追い上げられたが、八回にも4点を加え、10―3で完勝した。
スタンドで見守った鶴工OBの同市長沼、無職冨樫与美さん(78)は鶴南野球部に孫が在籍しており観戦は自身の卒業以来という。「雰囲気は変わらず、とても懐かしい。当時も負ければ全員で悔しがり、勝てば大いに喜んだ」と笑った。
野球の戦績は鶴工36勝、鶴南25勝、6引き分け。熱戦の余韻が残る球場で、鶴南の佐藤彪賀主将(17)は「いいライバル関係を築いてきた。校名が変わっても定期戦の伝統を続けてほしい」と期待した。一方のサッカーは鶴南が4―0で快勝し、鶴工27勝、鶴南19勝で定期戦を終えた。
|
|